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全私学新聞

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記事2001年6月3日 14号 (4面) 
近代私学発祥の地神奈川私学の魅力
特性、魅力アピール
全私学展、6月10日横浜で

加藤紀一氏


堀井基章氏

 近代私学発祥の地、神奈川の全私学(中学・高校)が、「神奈川私学 二十一世紀をリードする伝統と創意―全人教育は私学から」と題しての全私学百三十九校が一堂に会し、各校がブースで私学の魅力を紹介する私学展。第二回目は昨年の横浜文化体育館に比べ、三倍の広さをもつパシフィコ横浜展示ホールで開催される。

特性、魅力アピール
全私学展、6月10日横浜で

 神奈川県私立中学高等学校協会(堀井基章理事長=堀井学園理事長)は六月十日、横浜市西区みなとみらいの・パシフィコ横浜で「2001神奈川全私学(中高)展」(神奈川県および神奈川県教育委員会が後援)を開催する。
 第二回目となる今回は同県内のすべての中学、高校と中等教育中学校百三十九校が参加し、県内外の児童・生徒、保護者を対象に神奈川私学(中高)への理解、関心を求めるための展示会を行う。
 当日は八十二のブースごとに各校が特色を生かした展示を設け、学校案内、資料、写真やコンピュータなどを利用し、学校生活、授業内容、クラブ活動、入学試験などについて来場者の質問に答え、相談にも応ずる。この私学展の一つの特徴は各私立学校に在籍している現役の生徒も運営に参加することだ。生徒たちはブースで学校案内を配ったり、学校生活の紹介を行ったりする。会場内での受け付け、誘導や放送案内なども生徒が行う。
 またステージでは十三校が順次、演奏と演技を披露し、会場内の両サイドには各校の制服展示コーナーも設けられる。
 昨年七月に実施された全私学展は、一万二千人を超える小・中学生や保護者らが詰め掛け、私学の人気の高さがうかがわれた。

公教育担う私学の特性
神奈川県私立中学高等学校協会理事 私学展実行委員長、鵠沼女子高校長 加藤紀一氏

 本日は皆様にはご来場いただき、まことにありがとうございます。
 会場は協会への加盟単位に応じて八十二のブースに分かれ、学校紹介がなされております。その内訳は中学校五十七校、高等学校八十校、そして学校法改正で新たに登場した中等教育学校二校の百三十九校となっております。
 神奈川県は「近代私学発祥の地」「私学の先進県」といわれておりますように、明治、大正、昭和の戦前までに、それぞれ十八校、十一校、二十二校、合計五十一校の私立学校が創立されていました。
 戦後、神奈川県は生徒急増に応じて「県立高校百校増設計画」を昭和四十八年にスタートさせましたが、その時点では県立高校六十五校に対して、私立高校は既に七十二校が存在していたのです。
 戦前戦後を通じ、神奈川私学が私立中学校も含め文芸、スポーツなど学校教育の分野で大きな役割を果たしてきたことは広く人々に認めていただいているところです。つまり私学は次代を担う青少年の育成という「公教育」の大きな一翼を担当してきたのです。
 「公教育」イコール「公立学校」ではありません。私学は「私教育」ではなく、公立と並んで公教育を担っていることを認識していただきたいと思います。違うのは、学校の設置者が公立では国、県、市町村ですが、私学は各学校法人であるということです。それはこういう生徒を育てよう、そのためにこういう学校を創立しようという創立者の思いによって設置され、その思いが私学の「建学の精神」と呼ばれるものなのです。
 わが国の「私立学校法」第一条は「私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図る」としています。私学が特色をもっているのは、それぞれが建学の精神に基づく、独自の教育理念と指導方針が歴史の中で伝統化され、あるいは時代のニーズに応じて刷新され、独特の校風や学園を醸し出してきたためなのです。男子校、女子校、共学校、あるいは宗教的な理念、しつけの重視、情報教育、国際交流教育、特別進学や理系、文系、語学などのコース制等々、私学と特色は切り離せないものなのです。
 つまり私学はその「独自性」を通じて「公共性」を図る点が公立との一番大きな違いであり、私学の「特性」なのです。この私学の特性こそが、県民の皆様に公立よりも高い評価を得る結果を生んでいるのです。
 皆様にはどうぞこの点を念頭に置いていただき、神奈川私学の特色と魅力を感じとっていただければ幸いです。



子供の夢や希望叶えたい
神奈川県私立中学高等学校協会理事長、堀井学園理事長 堀井基章氏

 「自分のやりたいことを探し、実現したい」という、子供たちの夢や希望を少しでもかなえてやりたい。新しい世紀に立ち向かい先導的な担い手として生き抜く人間に、更には、豊かな人間性を育んで、思いやりのある人間に育ってほしい、などなど。子供たちへの思いはますます募るばかりです。
 さて、皆さまには、本日はようこそ「2001神奈川全私学(中高)展」においでくださいました。心より歓迎申しあげます。
 神奈川県は、近代教育における私学発祥の地といわれています。近代学校教育制度が明治初頭に確立されて以来、官製の教育に対して、私学は一貫して庶民教育、国民教育を原点とし、公立校とは一線を画した独自性、教育内容を堅持した教育活動を展開してきました。そして、各々がその役割を分担しながら、互いに切磋琢磨し、個性の尊重・重視の教育を積み上げ、豊かな人間性を育み、国民の期待に応えるよう努めてまいりました。
 この私学の歴史は重く、今後も、今日に至るまでと同様に、各校の教育理念の具現化に全身全霊を捧げている優秀な教職員と私学関係者が更に研讃を積み、生徒、保護者、卒業生と固い絆で結び、先進的な教育実践を推進し、国民の期待に応じていくことが私学の使命であり、私学こそが「国家百年の大計たる教育」の重責を担っているものと確信しています。
 さて、平成九年度に神奈川県県民部が「神奈川の高校についての意識調査」を実施いたしました。それによりますと、私学に進ませたいと願う親は公立の約四倍にも及んでいます。このことは、今日まで私学がそれぞれの創立の理念、教育方針、建学の精神により、個性豊かな学校に育て、今や進学や就職において、また、文化やスポーツの分野においても活躍し、傑出した結果を出していることや、更には、社会に対応し得る知識と人格を持った有為な人材を育成して、国際的にも幅広い視野を持ったグローバルな人材を養成してきたことに対する県民の評価であるといえます。
 本日ご来場の皆様方には、「2001神奈川全私学(中高)展」を進路選択の一つとして上手に活用され、豊かな未来を築かれますよう、心より祈念申しあげます。



国際化社会に大きく躍進
全人教育は私学から全私学展テーマで 

県民の公私立高校に対する意識調査
私学の魅力は特色、指導、進学に 学費格差が学校選択の自由奪う

 神奈川県県民部県民課が平成九年七月に「神奈川の高校についての意識調査―県立高校を中心として」を実施した。この調査は同県の教育行政を検討する上での基礎調査とするもので無記名で行われた。
 設問は全部で三十四問あり、県立高校と私立高校との比較、県立高校または私立高校を選んだ理由、県立高校を選んだ場合の満足度などが含まれている。このうち、県立高校と私立高校との比較の点では、進学、就職、授業内容、生徒指導、学校の特色や個性、学校行事・部活動、施設・設備、学校の雰囲気、教員―の九項目すべての点で、「私立の方が良い」という結果が出た。

【県立高校と私立高校との比較】
 県立高校と私立高校とを九項目で比較した場合、「私立の方が良い」という項目で特に多かったのは、「施設や設備に関して」で六五・一%に上った。次いで多いのが、「学校の特色や個性に関して」で五八・三%。以下、「大学などへの進学に関して」が四二・九%、「生徒指導に関して」が四〇・三%と続いている。
 そのほか、「私立の方が良い」という項目をみると、「学校行事・部活動に関して」(三七・三%)、「授業の内容に関して」(二九・三%)、「学校の雰囲気に関して」(二六・六%)、「教員に関して」(二二・四%)となっている。どの項目をとっても私立学校に対しては高い割合を示しており、九項目を平均すると、三一・八%という割合を示した。
 一方、「県立の方が良い」という項目をみると、最も多かったのは、「就職に関して」(一三・六%)だったが、これは「私立の方が良い」の中で最も低い割合を示した「就職に関して」(一四・五%)にも及ばなかった。二番目に多かったのが、「学校の雰囲気に関して」(一一・九%)で、ほかの項目はいずれも一桁台となった。平均的にみても、「県立の方が良い」は七・一%と低い割合になった。

私学 個性的で特色がある
公立 安い学費が最大魅力

【県立高校または私立高校を選んだ理由】
 また、私立高校を選んだ人でその理由をみると、「学校の特色や個性に魅力を感じるから」が五六・九%と最も多かった。次いで、「きめ細かな生徒指導を行っているから」(三一・二%)、「学習指導が充実しているから」(三九・二%)、「中高一貫教育だから(中高一貫教育の私立中学校から入学する場合)」(二八・八%)となっている。そして、「施設設備が充実しているから」(二四・六%)、「熱心な教員が多いから」(二三・六%)、「進学指導に実績があるから」(二二・五%)と続いた。
 これらの理由をみると、私立学校は建学の精神の下に特色ある教育を行い、施設・設備を充実し、進学指導や生徒指導とともに、部活動などをしっかり行っているところが評価されたといえる。
 県立高校を選んだ人の理由としては、「学費が安いから」が最も多く、八七・八%だった。そのほか多かったのは「自由な雰囲気があるから」(三五・五%)、「通学の便がよいから」(三四・五%)となっている。
 いずれも教育内容、学習および生徒指導など以外の面で評価されている。

【県立高校を選んだ場合の満足度】
 ところで、子供が県立高校を卒業あるいは在学している保護者が県立高校を選んだ結果の満足度は、「どちらかといえば満足している」(三〇・九%)、「満足している」(二九・三%)という結果が出た。
 この中で、満足、不満足の理由をみると、「満足を感じる」のトップが「学費に関して」(五〇・三%)、続いて「学校の特色や個性に関して」(三〇・三%)となった。
 「不満を感じる」で一番多かったのは、「進路指導面に関して」(四一・五%)で、次に多かったのは「学習指導面に関して」(三五・〇%)だった。以下、「教員の質に関して」(三〇・四%)、「生徒指導に関して」(二六・八%)と続いている。





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