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記事2002年1月23日 号 (1面) 
新指導要領実施でアピール「学びのすすめ」
文部科学省
理解力ある子は発展的学習
最低基準とし、補習、宿題を奨励


 今年四月から新しい学習指導要領が全国の小・中学校で全面実施となるが、文部科学省は一月十七日、新要領がねらいとする「確かな学力」向上のため、指導に当たっての重点等を明らかにした「確かな学力の向上のための2002アピール『学びのすすめ』」を公表した。アピールは新要領のねらいの確実な実施を目的としたものだが、学力低下の懸念にも対応したもの。その中では、学習指導要領の内容を十分理解した児童生徒には、教材や指導方法を工夫するなどして、積極的に発展的な学習に取り組ませることなどを求めており、学習指導要領に関しても「最低基準」と明示。学ぶ習慣を身に付けることに関しては、放課後の補充学習、朝の読書など始業前学習、宿題などによる家庭学習の充実に関し支援していく考えを明らかにしている。
 文部省は、「確かな学力」向上のために、(1)きめ細かな指導で、基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける(2)発展的な学習で、一人一人の個性等に応じて子どもの力をより伸ばす(3)学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高める(4)学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける(5)確かな学力向上のための特色ある学校づくりを推進するの五つを重点方策に挙げている。
 このうち(2)の発展的な学習に関して国は、各学校の取り組みを支援するため、▽教師用参考資料を作成し配布する▽教科書において、発展的な学習に係る記述を可能とする(次期の小・中・高校の教科書検定で)▽教科書会社と協力して、発展的な学習で用いる教材の開発・作成を進める▽スーパーサイエンスハイスクールやスーパー・イングリシュ・ランゲージ・ハイスクールを創設する。
 発展的な学習に関して文部科学省は、どこまでの内容とは定めておらず、場合によっては上級学校の内容を先取りすることも可能だが、生徒の興味・関心や負担などを考えて現場が判断することになる。ただし入試問題に関しては学習指導要領を超える出題は認めていない。
 また(1)のきめ細かな指導に関しては、児童生徒の理解の状況など学校の実態に応じて、学習指導を充実する観点から、柔軟な時間割を組む(国の定めている授業時数は標準)こと、教科ごとの学習状況に応じて、少人数授業や習熟度別指導など個に応じた指導を大幅に取り入れること、小学校において、教員の得意分野を生かした教科担任制の導入を各校に求めている。
 そうした各学校での取り組みに対して国は、▽基本的教科(国語、算数〈数学〉、理科、外国語など)において二十人程度の授業実施▽教職十年を経過した教員に新たな研修制度を創設し、教えるプロとして教員の資質向上を図る▽少人数授業等を実施するための学習環境整備▽免許制度の改善により、小学校で中学校、高校の教員が教えることを含めて教員の得意分野を生かした教科担任制の導入を進めていく。
 このほか国として、(3)に関しては、▽総合的な学習の時間に関する実践事例集を作成すること▽科学研究費補助金で学習意欲を高める方法の研究などを、(4)に関しては▽体験的な学習機会の充実▽学校図書館図書資料の計画的な整備▽学校における社会人の活用などを、(5)に関しては▽各学校における自己評価の制度化▽優れた実践を収集し、インターネット等を通じて紹介するなどの施策を行うとしている。
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