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記事2002年1月23日 号 (1面) 
高等教育のグランドデザイン主題に
奥島、有馬、佐藤氏が討議
私大連盟学長会議
 日本私立大学連盟(奥島孝康会長=早稲田大学総長)は一月十七日、東京・市ヶ谷の私学会館で「平成十三年度第二回学長会議」を開催した。今回の学長会議は「高等教育のグランドデザイン」をメーンテーマに、有馬朗人・参議院議員(元文部大臣)、佐藤禎一・日本学術振興会理事長(前文部事務次官)、奥島会長の三人のパネリストが討議。有馬氏はエリート大学育成と高等教育への公的支出の増額の必要性を、佐藤氏は世界的な教育の「大競争」時代へ日本の大学は対応すべきことをそれぞれ強調。奥島会長は教育のネットワーク化と財政のイコール・フッティングの必要性を指摘した。
 有馬氏は、大学生の学力低下論に言及。高校教育の多様化、世界的な高等教育の大衆化入学生の多様化によって学力の「低下」が起きることは当然だと指摘。ユニバーサル期に突入した高等教育は、エリート養成大学、中間管理者・中堅技術者養成のための大学などに機能分化すべきことを指摘。それとともに、少なくともGDP(国内総生産)の一%くらいまで国が高等教と教育への公的支出を増大させるべきだとした。
 佐藤氏はこれからの大学を考える場合には(1)大学の機能の拡大(2)「知識社会」における大学(3)世界的な「大競争」時代に突入した大学という三つの視点を踏まえておく必要があると指摘。(1)については、生涯学習をはじめとするエクステンションサービス、産学連携など大学の機能が多様化しているため、各大学は特色を鮮明にすべきだと述べた。(2)については、工業化社会に適合するシステムとして発展してきた教育システム全体が、脱工業化の「知識社会」に向かっていること、また、(3)については教育が世界的な大競争時代に突入しているとの認識を示し、こうした状況に大学がどう対応していくべきか、検討する必要があると述べた。

教育のネットワーク化推進

 奥島会長は、少子化、大学の国際競争、国立大学の独立行政法人化の三つが私立大学の危機だとしたうえで、私立大学は若者の個の確立に大きな責任を果たす必要があると指摘。生き残りをかけた厳しい競争原理の中でも私立大学間のすみ分けは可能だとした。単位互換、短期留学、社会貢献(ボランティア)活動などの各面で、各大学が相互に補充し合う、教育のネットワーク化を推進すべきだと提言。また私立大学への助成の拡大とともに、法人の損金算入限度額の撤廃などによって私立大学に寄附を行いやすいように、現行の税制の在り方を見直し、国公私立大学間の財政のイコール・フッティングを実現すべきだと強調した。
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