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全私学新聞

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記事2003年2月23日 1881号 (2面) 
私立幼稚園の財政は赤信号
全日私幼連が実態報告
納付金引き上げままならず
保育学生の私幼離れ傾向も
  全日本私立幼稚園連合会(三浦貞子会長=白ゆり幼稚園長、青森県)は、このほど、「平成十四年度私立幼稚園経営実態調査報告」をまとめた。
 私立幼稚園における平成十四年度の園児数や園児納付金、十三年度の財政状況等を集計・分析したもの。その中で私立幼稚園の財政状況については、最悪の赤信号、今一度、保護者納付金や公的補助金の在り方、教育経費や管理経費の在り方について見直しが必要と強調している。同調査は同連合会に加盟する都道府県私立幼稚園団体の所属園を対象に、回答のあった四千六百七十八園について集計・分析したもので、回答率は五九・四%。
 平成十四年度の場合、一園当たりの園児数は一六五・五人で、前年度に比べて一・八人増えていた。また三歳児に加えて五歳児も微増したことから定員充足率も前年度の七九・六%から八〇・七%に改善された。
 しかし過去十年間の出生率の低下による園児数の低落傾向に変わりはなく、本務教員数は、満三歳児入園やチーム保育の導入、預かり保育の推進、子育て支援など私立幼稚園に求められる役割が広がっていることから、依然増加傾向を続けており、一園当たりの本務教員数は五年度の九・〇人から十四年度には九・九人に増加している。
 こうした経営状況の悪化や役割の増加等に合わせて園児納付金は教育経費に見合う額の徴収が望まれているが、実態は、園児納付金が帰属収入の五三・六%にとどまり安定化の目安といわれる六五%という水準を大きく下回る状況だ。
 十四年度の年間納付金の伸び率(前年度比)は、〇・五%と同調査の開始以来最低の水準となっている。そのため教員の月額給与は横ばいを維持しているものの、期末手当は減額となり、公務員の給与が前年割れして公立幼稚園との給与水準格差を改善する好機にも関わらず改善は難しい状況で、保育者養成校の学生の私立幼稚園離れの傾向を引きずったままだ。
 帰属収入に占める消費支出を示す消費支出比率は、経営状態が良好という目安である八〇%を大きく超えて十三年度では九三・二%に達し、経営はますます厳しさを増している。


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