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記事2003年7月3日 1895号 (1面) 
「骨太の方針」第三弾を閣議決定 
国庫補助負担金等圧縮
規制改革・構造改革推進 、三位一体の改革実施
地方活性化を強調
  政府は六月二十七日に開いた閣議で「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」(いわゆる「骨太の方針」第三弾)を決定した。これは、低迷が続く日本経済回復の“処方箋(しょほうせん)”とされるもの。規制改革・構造改革の推進や三位一体の改革実施など六月十八日にまとめられた「原案」(本紙6月23日号既報)と比べ大筋の変更はないが、原案の段階では約四十nにわたって書かれていた「国庫補助金負担金等整理合理化方針」が、閣議決定版ではわずか七nに圧縮されており、特に公共事業関連の整理合理化方針が大きく抜け落ちている。また閣議決定版では日本経済の体質強化に関して、「元気な日本経済」は個性と魅力ある「元気な地方」に支えられて実現するなどとし、原案に比べ地方活性化の重要性をより強調しているのが特徴。

 構造改革・規制改革のうち教育に関しては、公立学校の管理・運営の民間委託等、大学・学部の設置等の弾力化などを挙げている点には変更はなく、公立学校の民間への包括的な管理・運営委託について早急に中央教育審議会で検討を開始する。高校中退者を含めた社会人の再教育など特別なニーズに応える観点から、通信制、定時制等の高校の公設民営化について平成十五年度中に結論を得る。株式会社等による学校経営については構造改革特区における実施状況をできるだけ早急に評価し、検討を進める――としている。このうち公立高校の公設民営化で石原伸晃・規制改革担当大臣は全日制を含めて高校全般を対象にするとの方針。大学・学部・学科の設置等の弾力化では原案以降ほとんど変更はなく、大学の校地面積基準は、構造改革特区の状況等を踏まえ全国拡大の検討を進め、遅くとも一年以内に結論を得ること、大学を設置する学校法人の校地・校舎の自己所有要件の緩和は十五年度中に検討し、結論を得ること、学部・学科の設置認可の弾力化は本年度からの制度改正の実施状況等を踏まえ、さらに検討するとしている。義務教育改革では、新たに関係行政機関連携の下、「食育」を全国展開するとしている。
 一方、国と地方の改革における三位一体の改革では、平成十八年度までの三年間に約四兆円の国庫補助負担金の廃止、縮減等の改革を行うほか、地方交付税総額の抑制、税源移譲を含む税源配分の見直しを行う。
 そのうちの国庫補助負担金の廃止縮減では義務教育費国庫負担金が最大の課題。私立高校等への国庫補助も見直し対象となるが、骨太の方針では個別に取り上げてはいない。しかし国庫補助負担金は廃止・縮減の方向に動き始めたことから、私立高校等への国庫補助金の環境は厳しい状況といえる。
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