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記事2004年10月3日 1951号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
博士課程修了者の有効活用を
財政論なき教育論は無力
設置の規制緩和検証必要
【大学分科会】

 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=佐々木毅・東京大学長)は、九月三十日、都内で第三十九回の会合を開き、我が国の高等教育の将来像について、有識者から意見を聞いた。「大学ランキング」の編集長でもある、朝日新聞の清水建宇論説委員は、高等教育の将来像の中では、「『高等教育』が、大学・短大を指す場合と、それに専門学校を加えている場合の二通りに使われている」と指摘したうえで、学校数三千、学生数六十八万人に達し、高校の進路指導においては、「大学か短大か、専門学校か」と並列的に語られている専門学校も含めた、七五%近い進学率をもって、高等教育のユニバーサルアクセスを語るべきだとの意見を述べた。さらに、十八歳人口が減り続けているにもかかわらず、設置の規制緩和が進んだために、大学が増え続けている現状に触れ、「一度立ち止まって、これまでの緩和策を検証すべき時ではないか」との疑問を投げかけた。
 京都大学大学院教育学研究科竹内洋教授は、「博士課程修了後の進路に希望が見えない現状のままでは、今後優秀な学生が大学院に進学しなくなるのではないか」との懸念を示したほか、COEについて、「研究は複数大学の研究者が合同で行うことが多い。拠点作りだけでなく、見えないネットワークに目を向けた財政支援も考えて欲しい」と要望を述べた。
 東京大学大学院教育学研究科矢野眞和教授は、「個々の高等教育機関ばかりでなく、国の高等教育システムないし高等教育そのものの総合力が問われることになる」との記述には「大賛成」としたものの、「財政論なき教育論は無力である」として、教育論と財政論を分離させてはならないとの考えを述べた。また、この日は三日の会合で審議された、薬剤師養成課程六年化に伴って、専任教員数を現行の二倍とするなどの大学設置基準の改正、外国大学の日本校を当該国の大学として位置づけること、日本の大学の海外分校で設置基準を満たすものについては、学部・学科として位置づけることを、それぞれ適当とする内容の答申を行った。次回以降の会合では、関係団体などから、引き続きヒアリングを行う予定。

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