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記事2004年2月23日 1925号 (2面) 
不況からくる困窮が学生生活に反映
大学生協連、学生生活実態調査
仕送り減少で食費・書籍費の割合
過去最低を記録
 全国大学生活協同組合連合会(会長理事=田中学・東京大学名誉教授)は、このほど今回で三十九回目となる「学生生活実態調査」の結果を発表した。昨年十月から十一月、四十の加盟大学の学生、九千四百三十六人(国公立六三・一%、私立三六・九%。男子五一%、女子四九%。自宅四八・一%、自宅外五一・九%)から回答を得た。
 これによると、ことに自宅外学生の生活は、厳しくなっていることなどがわかった。仕送り平均額は二年連続で減少。昨年よりさらに約八千円減の八万五千六百七十円。奨学金支給額は、約二千円と微増、アルバイトによる収入はほとんど変わっていない。
 これについて生協連は 「学生にとって、もっとも効率のよいアルバイトである家庭教師の募集が不況で減っている。理系を中心に大学院進学者が増えているため、勉強も手を抜けず、時給の安いアルバイトで稼ぐくらいなら、切りつめて勉強に専念するほうがいいと考えているのではないか」とみている。
 やむを得ず切りつめている項目は、食費、書籍費。自宅外学生の全支出のうち、この二つが占める割合は大幅に減って(食費・二〇・一% 書籍費・二・一%)、いずれも調査開始以来最低比率となった。書籍代にいたっては、昭和五十五年の五千三百五十円の四七・九%にあたる二千五百六十円にまで落ち込んでいる。
 アルバイトもせず、勉学に打ち込む一方で書籍代を削るとは、矛盾しているようだが、勉強の方法を変えていると見たほうがよさそうだ。「図書館の利用率は増えているし、最近では海外の論文もインターネットで読めるようになっている」(生協連調査担当・西垣内氏)。それを示すかのような調査結果も出ている。家族との共用を含めたパソコン保有率は、九二・五%と過去最高となり、インターネット利用者(「よく利用する」と「時々利用する」の合計)の九三・三%も、調査開始以来最高。
 「日常生活の中で気にかかっていること」として、「生活やお金のこと」が筆頭となっているが、生活費の中で増加させたい品目には、衣料品に次いで、書籍費・勉学費があげられており、苦しい中でも、勉学への意欲を失わない姿が見てとれる。
 また、保護者に対して行った「入学までに必要な費用の調査」の結果も発表された。全国平均では国公立の自宅学生で百十一万五千百円、私大の自宅外学生では二百十一万四千三百円となっている。

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