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記事2004年2月23日 1925号 (1面) 
高校設置基準を改正 通信教育規程と合わせ4月から実施
既存校には経過措置
多様な学校作りで最低基準に変更
校舎や運動場面積大幅に軽減
 文部科学省は三月末までに「高等学校設置基準」と「高等学校通信教育規程」を改正し、四月一日から実施する。現行の高等学校設置基準は標準基準とされているが、新基準は地域の実情等に応じて特色ある多様な学校が設置できるよう「最低基準」との性格に改められ、学科に関する規定も現行より簡素化されるほか、校舎や運動場の面積基準も大幅に軽減される。私学に関しては高校設置基準に沿って都道府県ごとに認可基準が順次改正される予定。既存校に関しては不都合がないよう編制、施設、設備等の取り扱いで経過措置が講じられる。

 これまでに明らかになっている改正案では、初めに「設置者は高校の水準向上に努める」と同時に、「自己点検評価及びその結果の公表に努めるとともに積極的な情報提供を行う」としている。
 学科に関しては、「高等学校の学科は、普通教育を主とする学科(普通科)及び専門教育を主とする学科(農業学科、工業学科等の専門学科)並びに普通教育及び専門教育を選択履修を旨として総合的に施す学科(総合学科)とする」などと簡素化される。同時に授業を受ける一学級の生徒数は、現行と変わらず「原則四十人以下」となる。
 教諭等の数に関しては現行の細かな規定を改め教頭の数を「各課程ごとに一人以上」、教諭の数については「収容定員を四十で除した数以上で、かつ、教育課程の実施に支障がない人数」とする。また教員等は、学校間連携や中高一貫教育の広がりに合わせて「他の学校の教員等と兼ねることができる」とする。
 事務職員の数に関しては、現行の人数規定をやめ、「高校の課程の区分、生徒数等に応じて、運営のために必要な相当数の事務職員を置かなければならないこととする」とし、高校に置く職員については「相当数の実習助手及び養護教諭その他養護をつかさどる職員を必要に応じて置くものとする」と改める。
 校舎及び運動場の面積は、収容定員が百二十人以下の場合は千二百平方b、百二十一人以上四百八十人以下の場合は一二〇〇+六×(収容定員―一二〇)平方b、四百八十一人以上の場合は、三三六〇+四×(収容定員―四八○)平方bの式によって算出される。
 収容定員一千人の高校の校舎面積を考えてみると、新基準はあくまで最低限の基準だが五千四百四十平方bとなる(現行では一万平方b=標準基準)。運動場に関しては、生徒一人あたりでは算出しておらず、「八千四百平方bを下らないこと」としている。これはサッカー場を、余裕を持って確保できる広さ。
 備えるべき施設に関しては、「校舎には、少なくとも教室(普通教室、特別教室等)、図書室、保健室、職員室を備えるとともに、必要に応じ専門教育のための施設を備える。また校舎及び運動場のほか、原則として体育館を備える」としている。そのほか「特別の事情があるときは、教育上支障のない限り、他の学校等の施設及び設備を使用することができる」としている。
 一方、高等学校通信教育規程に関しては、通信制課程の規模を、「原則として生徒収容定員が二百四十人以上」(現行では三百人以上)とし、教諭等の数については、「教頭と教諭の合計数は五人以上とし、かつ、教育課程の実施に支障のない人数とする。また教員等は、他の学校の教員等と兼ねることができる」とし、校舎の面積については、高校の新基準の最小基準である千二百平方b以上とする、と定めている。一部の広域通信制高校に関しては、いわゆるサポート校に絡んで不適切な実態があるとの声が教育関係者から上がっているが、こうした点に関して文部科学省は認可権者への指導等で対応していく方針。

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