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記事2005年4月23日 1975号 (6面) 
産学連携 (1) ―― 東京電機大学
産学連携技術セミナー開催

社会に役立つ研究成果
電気・電子と情報通信・機械二分野で発表


 東京電機大学(加藤康太郎理事長、東京都千代田区)は三月十六日、東京・神田の同大学神田キャンパス「産学連携技術セミナー2005」を開催した。このセミナーは同大学の特許・研究シーズ・研究成果を一般企業などに紹介し、産業界に積極的に活用してもらうための一環として毎年開かれている。
 この日は、冒頭、加藤理事長が「社会に役立つ研究成果を目指す」とあいさつ。続いて、同大学の産学連携体制やその具体的手続きについての取り組みが報告された後、「電気・電子・その他」と「情報通信・機械」の二つの分野に分かれて、それぞれ四研究テーマについて発表が行われた。
 【産学連携体制】
 藤田聡・産官学交流センター長が「東京電機大学の産学連携体制について」と題し報告、同大学が「実学重視」の方針で進めていることを強調した。
 産官学交流センターは産業界、国・地方自治団体等、および国内外の大学・各種研究機関との学術・研究交流を図り、研究資金・資源の積極的導入を促進することを目的に、平成九年四月に発足された。十二年六月には「技術移転機関(TLO)」として承認を受けた。
 産官学交流センターは学内職員のほか、発明協会から派遣されている特許流通アドバイザーや、文部科学省から派遣されている産官学連携コーディネーターが常駐しており、同大学シーズの発掘に努めている。
 十五年度からは新たに同大学のOBの中心からなる「産官学交流センター産学連携アドバイザー制度」を発足し、技術移転の活性化を図っている。
 また、成功事例の類型として、@研究者の仕事を特許に結びつけていく「特許実施許諾」A大学から産業界に特許を持ち込む「所有特許シーズの紹介」B大学発ベンチャー企業――を挙げた。
 今後の方針として、藤田センター長は、「わが国は科学技術創造立国を目指し、現在七十兆円ほど投資されようとしていますが、本学の建学の理念である「実学重視」を基本に置いた分野を推進していく」と述べた。さらに、外部からの資金導入の援助、知財管理業務や技術移転業務に対し職員と教員が一体となって行う環境づくり、および、大学発ベンチャー企業に対し援助をする場合の効果の調査など――を、基本的に進めていく。


企業のニーズと大学の技術を連結


 【産学連携の具体的手続きについて】
 杣田潤哉・産官学交流センター課長が、企業からの技術ニーズと大学が所有している技術シーズをいかに結びつけるかという点から産学連携を説明した。
 企業からは、@新事業のための新しい技術を企業が大学で探している場合A自社で製品開発・改良を行っている場合に大学のアドバイスを受けたい場合B自社の研究開発の一部を大学に委託したい場合――これらのニーズがある一方で、大学からは、@外部資金を得て研究を進めたいという要望A研究成果を製品化して直接社会に役立てたいという要望――がある。
 産官学交流センターでは、これら両者のニーズと要望・研究内容を踏まえ、▽「実施特許」(大学が特許を所有しており、企業に特許を実施許諾し、製品化する)▽「技術指導」(特定のテーマについて同大学の教員が技術指導する)▽「受託研究」(特定のテーマについて研究・開発を同大学教員が委託を受ける)▽「共同研究」(特定のテーマについての研究・開発を同大学教員と共同で行う)――を行う。
 手続の進め方については、まず、大学の教員が社会に役立つ研究を発掘する、また、教員からセンターに研究内容の連絡をする――発明者に対し、技術内容・特許との関係、製品化した場合の販売の可能性などヒアリングする――専門家による技術調査――ヒアリングと技術調査をまとめた評価書(「職務発明等委員会の資料」となる)の作成、という手順を踏むことになる。
 また、「職務発明等委員会」で職務発明として適当であるという認定を受けた場合、権利自体は発明者に帰属しているので、大学が権利を承継するかどうかについて、理事長が決定することになる。
 【技術セミナー】
 発表された各研究テーマは次の通り。
 「電気・電子・その他」の分野では、「永久磁石同期電動機の回転子初期位置推定方法」「EHD現象を利用したアクチュエータ」「新世紀の未来を切り拓く発光性ナノシリコン」「DNAの細胞内導入に適する人工ヴィルスの形状測定」。「情報通信・機械」の分野では、「UWB(超広帯域)ワイヤレス技術」「グラスマン相関」「ダイナミックシラバス2」「物品販売用装置の開発」。





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