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記事2007年4月3日 2061号 (1面) 
地教行法など教育改革関連三法案国会に提出
私学の自主性担保策を条件に了承 与党教育再生協議会
知事の要請あれば教委が助言
運用では私学と協議
政府は三月三十日、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」「学校教育法の一部を改正する法律案」「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案」の教育改革関連三法案を国会に提出した。

 三法案の改正内容等を検討した中央教育審議会の論議では、地教行法の改正を巡って教育委員会の私立学校への関与の是非が大きな焦点となったが、改正案では、知事が必要と認めるときは、学校教育に関する専門的事項について教育委員会に助言・援助を求めることができる、との内容となった。平成二十年四月からの施行。
 教育委員会が私立学校を指導することについては、中教審でも不適当と判断したことや、私立学校団体の反対もあり、法案に盛り込むことは見送られた。三月二十九日に法案について事前審議を行った与党教育再生協議会では教育委員会の私立学校への関与で注文がつき、私立学校の自主性へ配慮することなどを条件にした法案了承となった。
 具体的には「知事が専門的事項について教育委員会に助言・援助を求められる」との改正点に関して、「知事は具体的運用に当たっては私学と協議し、教育委員会は、知事に助言・援助を行う際、私学の自主性を尊重する」ことを法案了承の条件とした。
 また地教行法改正案では教育委員会の法令違反や怠りにより、緊急に生徒等の生命・身体を保護する必要が生じ、他の措置によってその是正を図ることが困難な場合、文部科学大臣が教育委員会に是正・改善の指示ができるようにするが、この点についても与党協議会で「指示が必要な緊急時には首長も教育委員会に対して支援を行うこと」を確認している。
 こうした与党側から出された条件に関しては、大臣答弁、法案の付帯決議、施行通達の三点セットで制度的に担保していくこととなった。
 このほか地教行法では、教育委員会が法令違反や怠りにより生徒等の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかである場合、文部科学大臣は、講ずべき措置の内容を示して、地方自治法の是正の要求を行うこと、また文部科学大臣が教育委員会に対して指示や是正の要求を行った場合、文科相は、当該地方公共団体の長及び議会に対してその趣旨を通知する。さらに教育委員の数を弾力化し、教育委員への保護者の選任を義務化すること、教育委員会は学識経験者の知見を活用し、活動状況の点検・評価を行う。
 学校教育法の一部改正案では、改正教育基本法の新しい教育理念を踏まえ、新たな義務教育の目標として、規範意識、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度や伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する態度などを定めるとともに、幼稚園から大学までの各学校種の目的・目標を見直している。また学校における組織運営体制や指導体制の確立を図るため、幼稚園、小学校、中学校等に副校長、主幹教諭、指導教諭という新しい職を設置できること、社会人等を対象とした特別の課程を履修した者に対して大学等が証明書を交付できるようにする。新しい職の設置は平成二十年四月一日からで、その他は公布の日から六カ月以内で、政令で定める日からの施行。
 教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案では、二十一年度から普通免許状、特別免許状に十年間の有効期限が定められる。更新講習を修了しないと更新できない。現職教員も十年ごとに更新講習を修了できないと免許状が失効となる。一方、指導が不適切な教員の認定、研修の実施等を定めており、任命権者は、教育や医学の専門家や保護者などの意見を聞いて認定を行うこと、指導改善研修中の教員は、免許状更新講習を受講できないこと、研修終了時の認定でなお指導が不適切だと認定した者に対して、免職その他必要な措置を講ずること、教員が分限免職処分を受けたときには、免許状は効力を失う。
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