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記事2009年2月23日 2128号 (2面)
教育分野でもグローバル化が進展しているが、文部科学省が進める国際化施策に見落としはないのか、過度なものはないのか、グローバル化以降に来るものといった将来の見通しなどを話し合う同省の国際教育交流政策懇談会の初会合が一月二十七日、都内で開かれ、座長に金沢一郎・宮内庁皇室医務主管が、座長代理には田村哲夫・渋谷教育学園理事長が就任した。両氏を含め委員は十五人。 この日、同省が示した「グローバル化と教育に関して議論していただきたい論点例」は、「いかにグローバル化に乗り遅れないようにするかという、これまでの観点に加え、グローバル化がもたらす問題を含む諸課題に対する教育分野における日本型の対応を横断的に探り、政策の選択肢を増やすことに資する検討」という内容。銭谷眞実・事務次官はそれを「グローバリゼーションの教育に与える光と影」と表現した。 具体的には(1)グローバル化が進展する中で、日本で教育を受ける利点(2)グローバル化する世界の中で文化の多様性を尊重し受け入れる寛容な姿勢を育むための国際教育交流・協力(3)世界共通の価値観や世界規模の課題に対する姿勢を育むための国際教育交流・協力(4)世界における日本の人材育成の役割(5)国際教育交流・協力を推進する上での中長期的指針(6)グローバル化が教育に投げかける課題と対応の方向性。 同省による説明の後行われた委員による自由討議では、日本の将来の移民受け入れを想定して日本語ができない子供への積極的な対応や、日本人学生を積極的に留学生として海外に出す施策の必要性などが指摘された。また留学生三十万人計画が実施されると、留学生は単なる「お客様」ではなく、量的に日本人学生本体に影響を及ぼす存在となることから今の教育体制の見直しが迫られるとする意見、大学在学中の就職活動が日本の高等教育の問題点で、学生が海外に出る妨げとなっているなどを指摘する意見が聞かれた。 さらにユネスコが推進するESD(持続発展教育)が我が国の初等中等教育ではほとんど顧みられていないことの問題点や、弁護士など職業資格の国際化の動向への目配りの必要性などが指摘された。 同懇談会は今後、月に一回程度の会合を開き、今年七月ごろには中間報告をまとめる予定。懇談会は平成二十二年三月末まで。 このほか懇談会では、日系ブラジル人やペルー人が増加、公立学校に通う児童生徒が七千人(平成十九年度)にも及ぶ中で、経済情勢の悪化から解雇される日系人が急増、その子供の就学継続が問題となっていることから、懇談会内にワーキング・グループを設けてブラジル人学校等における教育の現状と課題を検討することを決めた。次回は二月二十七日。 |
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