こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2009年4月3日号二ュース >> VIEW

記事2009年4月3日 2132号 (4面) 
部活動の扱いなど検討 制限論も
一年間の変形労働時間制導入か?
【教職調整額の見直し等作業部会】
 中央教育審議会初等中等教育分科会の「学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会」の第九回会合が三月二十六日、文部科学省内で開かれ、前回に続き教職調整額を時間外手当化した場合の論点や課題などを検討した。この日は特に、超過勤務の大きな要因の一つとなっている部活動の取り扱いのほか、教員の仕事の持ち帰り、一年間の変形労働時間制導入の問題を中心に討議した。
 このうち部活動に関しては、「(公立学校の場合)最終的に行政に責任があるため、一定の日数に制限すべきだ」「部活動は、新学習指導要領では学校教育の一環でと書かれたので、校長が時間的制限をかけられるようになった」「担いきれない部分はPTA等への委託が必要だ」「教員が勤務時間内に部活動を担当するのは難しい。しかし地域のスポーツクラブは部活動とは異質なもの」などの意見が出されたが、労働法の専門家からは定額の手当てだけで時間外の問題の解決は無理で、学校とは切り離して考えるべきといった意見も出された。また現在の部活動手当てをどうするのか、部活動に関しては地域や保護者の期待、教員が責任感から自腹を切ってまで部活動に情熱を注ぐ実態なども報告され、そうしたケースへの対応も同省では課題として改善方策を検討することにしている。
 また仕事の持ち帰りに関しては、「好ましくないが、やらざるを得ない実態もある。そのことにより学校が支えられている。業務の標準時間は決めておくべきだ」「(現行は)一律の教職調整額ということで、学校でやるより家に持ち帰った方がいいという面も。特に女性教員は子供の迎えなどのため、家に帰らなければいけないとの問題もある」「残業を出さないような対応がまず必要」などの意見が聞かれた。
 加えて「民間では持ち帰りは(残業時間としては)無とみなされる」「明日までにこの仕事をやってくれというような命令をすると、労基法上労働時間にカウントされる可能性がある」「ワークライフバランスで在宅勤務を部分的に認めることはあり得る」といった意見も聞かれた。
 さらに一年間の変形労働時間制の導入に関しては、「一定の治療薬にはなるが、すべてを解決するのは無理」「休日出勤分を平日に割り振ればいい。今でもできると思うが、地域によって事情が違う。あくまで個別の対応が必要」との意見もあったが、全般的に委員からは好意的に受け取られ、密度の濃い仕事をすることを前提に、導入は可能との空気だった。
 ただし個別の学校ごとに労使協定で決めるのではなく、条例で決めることが大原則と指摘する委員もいた。県費負担教職員ということで都道府県条例で定めるのか、服務関係は現在、市町村条例となっているため、市町村条例で定めるのか、それ以上の検討は行われなかった。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞