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記事2009年4月3日 2132号 (1面) 
新指導要領円滑実施へ21年度210億円の予算
先行実施の概要などとともに報告
中教審初中分科会教育課程部会開催
第五期の中央教育審議会になって初めての初等中等教育分科会と教育課程部会が三月三十一日、都内のホテルで合同会議の形で行われた。同分科会長と同部会長には梶田叡一・兵庫教育大学長が決まった。この日は、小・中学校の学習指導要領の先行実施を翌日に控え、文部科学省から先行実施の概要等が報告された。また今年中を目途にまとめる予定の学習評価の在り方に関連して、現行の指導要録の参考様式などが説明された。説明事項が多かったため具体的な議論は行われなかった。

 合同会議では、文部科学省から改めて学習指導要領改訂の概要と実施日程が説明された。小・中学校では算数、数学、理科、総則等が平成二十一年度から先行実施となり、小学校は二十三年度から、中学校は二十四年度から全面実施となる。高校は二十二年度から総則等の先行実施が始まり、二十四年度からは年次進行で数学、理科が先行実施となり、二十五年度から年次進行で全面実施となる。幼稚園に関しては教育要領が四月一日から全面実施となった。こうした説明に梶田分科会長からは、今回の学習指導要領は最低基準との位置付けで、高校の授業として補習もできるようになったこと、今後は条件整備や周知・広報活動が重要だと指摘され、同省から条件整備関連の予算措置や周知・広報活動の概要が説明された。今年度予算に計上された新学習指導要領の円滑実施に向けた支援策の総額は、前年度の二倍強の約二百十億円。教材整備事業については予算額とは別に今年度から三年間の計画総額として約二千四百五十九億円が地方交付税措置されることなどが説明されたが、委員からは、「措置率が三〇%と悪い自治体もある。確実に措置されるよう文科省は努力してほしい」、「今回の学習指導要領は難しい内容が含まれてくるのに、最低基準ということから混乱(が生じるの)は当たり前」といった意見や、法的拘束力のない解説書に教育現場から新提案が出てくることを阻害しかねない記述が見られるとの指摘もあった。高校の解説書は七月にも発行の予定。
 第五期の教育課程部会には、私立小・中・高校の教育内容面の研究や研修も行っている財団法人日本私学教育研究所の中川武夫所長(淑徳巣鴨中学高校長)が新たに委員として参加している。
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