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記事2011年8月13日 2213号 (1面) 
私立学校災害復旧補助率、かさ上げ法案参院通過
野党5党が議員立法で提出
公立校と同等支援補助率1/2を2/3に
 自由民主党の橋本聖子議員など野党五党の六人の議員が議員立法の形で八月九日に国会に提出した「東日本大震災に対処するための私立の学校等の用に供される建物等の災害復旧等に関する特別の助成措置等に関する法律案」に係る質疑が、八月十八日、参議院文教科学委員会で行われ、約二時間の質疑の末、賛成少数で否決となった。ところが二十二日の参院本会議では一転、野党の賛成多数で可決、衆議院に送られた。与党が多数を占める衆議院での成立は難しい見通し。
 この法案は、災害復旧等に公立学校、私立学校の違いはない、との考えから、公立学校と同様に、災害復旧に要する工事費について国が三分の二(現行は二分の一)を補助し、加えて残りの三分の一についても地方公共団体が私立学校等に助成措置を行った場合、国が交付金を交付するというもの。専修学校、各種学校に関しても準用するなどといった内容。現在、公立学校の災害復旧については、一〇〇%近い財政措置が行われている。
 こうした野党議員の提案に文教科学委員会では民主党・新緑風会の神本美恵子議員は、政府の第一次補正予算の早急な執行が最善だなどと述べ、また文部科学省の鈴木寛副大臣は、災害復旧に関して補助金決定前の事前着工が可能なため、被災した大学の一〇〇%、高等学校等の七八%、専修学校等の約六〇%がすでに復旧工事に着手していることを明らかにしたうえで、被災地で学校経営の継続が難しい中、学校を守る、雇用を守ることが大事で、経営困難に陥っている学校法人を支えていくためには、使い勝手がいい第一次補正予算の早急な執行が最善策とした。また補助率が二分の一を超えると、私立学校の受け入れ生徒を決定する自由度や学費の見直し要求を惹起する恐れがあること、都道府県の裁量的経費に国の交付金を義務づけることは、地方財政法上課題があると指摘した。これに対して発議者の一人の義家弘介議員(自民党)や、質問者の熊谷大議員(自民党)など野党議員は、学校再建には一次補正では足りないこと、激甚災害法による補助も私立学校は局地的な被害では対象にならないことなど、公立学校との間にある様々な格差を指摘、同法案の成立を訴えた。

民主党は一時法案に賛成、一転反対に

 また熊谷議員は、同法については三月から準備進めてきたこと、当初、衆議院の文部科学委員会では民主党も賛成だったものの、国対からストップがかかり、参議院での提案となったこと、民主党が反対となった背景には財務省が難色を示したといわれていることなどを明らかにした。結局、採決の結果、同法案は賛成少数で否決、本会議では、一二八票対一〇七票の賛成多数で同法案が可決となった。ただし与野党議員とも、今後起こりうる災害に対して、激甚災害法や私立学校に対する支援の在り方など恒久的な支援策を議論し詰めていく必要性、より良い私学振興策の必要性との認識では一致していることが明らかになった。
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