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記事2011年8月13日 2213号 (1面) 
中高連が中高一貫教育制度で文科省に意見
中教審作業部会『意見等の整理』
議論が学力検査のあり方論に矮小化
国民の認知低いなかで意見募集の問題も指摘

 日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長)は八月十日、文部科学省の初等中等教育企画課教育制度改革室に意見を提出した。同省の意見公募に応じたもの。同連合会が提出した意見は、中教審の作業部会が七月にまとめた『中高一貫教育制度に関する主な意見等の整理』に対して。『意見等の整理』をまとめるに際しては、公立中高一貫教育校での学力検査解禁の是非や、全国八割以上の公立中高一貫校で行われている適性検査の実情が争点となった。
 意見の中で中高連は、現行の中高一貫教育制度創設時に衆参両院の委員会で行われた決議の趣旨を踏まえて、文部科学省令である学校教育法施行規則第百十条ほかに、公立中高一貫教育校では学力検査を行わないことが定められているとした上で、「多くの都府県で適性検査と称する選抜方法が申し合わせたように導入され、『意見等の整理』では、これが法令上の学力検査に該当しないことについて意見が縷々(るる)述べられているが、全てが後づけの弁明(詭(き)弁(べん))に過ぎない」と指摘。また、「発足十年余を経た現行制度の現状を十分に検証し、制度創設の目的をどの程度達成できたのか、あるいはできなかったのかについて検討した上で、今後、公立中高一貫教育校は何を目指すべきなのかについて議論が行われるべきだったにもかかわらず、『意見等の整理』ではこれらが行われた形跡がないまま、学力検査の導入の是非論や学力検査のあり方論に矮(わい)小(しょう)化しているのは極めて不自然、不十分と言わざるを得ない」と述べている。
 加えて、こうした重要事項が中教審の作業部会で検討されていること、また、「大多数の国民が『意見等の整理』を認識しているとは到底思えないにもかかわらず、広く国民の皆様からご意見を頂くという手法は、今風にいえばやらせに近い世論形成といわれてもおかしくない」などと問題点を指摘している。
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