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記事2013年3月3日 2265号 (1面) 
第7期中央教育審議会が始動
総会を開催、三村明夫会長を再任
教委制度の見直し 来年の通常国会に改正法提出
道徳の教科化、急ぐ方針表明
第七期中央教育審議会の初総会が二月二十七日、都内で開かれた。冒頭、会長には三村明夫・新日鐵住金株式会社取締役相談役が再任され、続いて前期中教審の任期終了で審議未了となった課題等が文部科学省から説明された。
 その後、出席の各委員が、政府の教育再生実行会議が前日の二十六日にまとめた「第一次提言」の中で打ち出した道徳の教科化や、同会議で議論が始まった教育委員会の抜本的な見直し等について意見を発表した。
 中教審総会には文部科学省の下村博文大臣、福井照副大臣、義家弘介大臣政務官も出席。
 下村大臣は、総理直属の教育再生実行会議で教育委員会の在り方について議論が始まったことを報告、中教審は同会議の提言等を踏まえ教育委員会の抜本的な見直しを行い、来年の通常国会には改正法案を提出する考えを明らかにし、また、大学教育についてグローバル教育も含め質量の両面にわたる議論や、第二期教育振興基本計画に関する引き続いての審議を要請した。
 この後、委員からは、「いじめ問題は根深い。第三者委員会は機能しなかった。法制化は上手くやらないといけない」「大学改革のスピードは遅い。思い切って大学全体を機能別分化させ、それぞれ特性に合わせた施策が必要」「消費の対象ではなく、投資としての教育の立場を考えなければいけない」「私学も含め教育にかけるお金を削らないでほしい」「日本の大学のレベルは低い。客観的な数値で国民に分かるようにしてほしい。道徳の教科化は今までのスケジュールだと十年かかる。あまりにも遅い。スピードアップを」「私立大学への補助を見直してほしい。大きな大学がさらに大きくなっていく」「大学進学、偏差値ではなく、二十一世紀は思考力を培える教育が我々の願い」――といった意見が出された。
 こうした意見に下村大臣は、道徳の教科化に関しては、「三月中に心のノートを配布して、その後、偉人のエピソードなどを加えるなど全面改訂し、配布する。学習指導要領に関わる部分は前倒しする。十年かけるなどとは思っていない」と語り、また、教育に対する公的投資に関しては、「わが国の教育に対する公的投資はOECD諸国で最下位に近い。せめてOECD諸国並みにしたい。今より十兆円近く増やすことになる。国家戦略を考え、あるべき日本の形を作り、国民の理解を得ていくことが必要」と語った。
 総会終了後、会場内で三村会長の記者会見が行われ、三村会長は、「中教審会長としては、教育再生実行会議が設けられ幅広い議論がなされることで非常にうれしい。全体としては、大学教育と幼児教育が課題だと考えている。大学生は勉強しない。諸外国の学生や日本の中学生と比べても勉強時間は少ない」と語り、また三月中には答申をまとめることにしている「第二期教育振興基本計画」に関する追加検討については、課題を盛り込む程度にとどまるのではないか、との見通しを明らかにした。


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