文部科学省の平成27年度予算案が1月14日に閣議決定され、内容が明らかになったが(私学助成関係予算案は1月23日号で既報)、その中にはさまざまな新規事業等が盛り込まれた。ここでは、初等中等教育局関係の予算のうち、私立学校にも関わりのある主な新規事業や特徴的な事業を報告する。
予算額1兆5284億円の義務教育費国庫負担金は少子化や教職員の若返り等で前年度比38億円の減額となったが、新たに「授業革新等による教育の質の向上」、「チーム学校の推進」、「個別の教育課題への対応」、「学校規模の適正化への支援」への方向性を明確に打ち出した点が特徴。
このうち「授業革新等による教育の質の向上」では、課題解決型授業(アクティブ・ラーニング)の推進、小学校における専科指導の充実等を、「チーム学校の推進」では、主幹教諭、事務職員の拡充による学校マネジメント体制の強化、学校司書、ICT専門職員など専門人材の配置充実などを実施する。「個別の教育課題への対応」では家庭環境や地域間格差など教育格差の解消等を、「学校規模の適正化への支援」では統合校への支援(統合前1年〜統合後2年)等を行う。
関連して指導力の育成や研修機会の拡充など教員の資質向上方策の強化を行う。予算額は2億4300万円で前年度比1億円の増額。この中では、@新たに「現職教員の新たな免許状取得を促進する講習等開発事業」を行う(予算額6千万円)。具体的には小・中学校免許状併有のための講習の開発・実施、通信・放送・インターネット等を活用した講習の開発・実施などを行う。また、A独立行政法人教員研修センターに新たに「次世代型教育推進センター」(仮称)を設置して課題解決・協働型授業等に関する研修システムを構築し、各地域の研修機能のネットワーク化を図る。また新規事業としてインターネットを通じた研修を実施するため、研修用テキストの解説講座などのコンテンツを開発し提供する。
さらに約41億円(対前年度比8億円増)を投じて、「補習等のための指導員等派遣事業」を行う。
これは主として学力向上を目的とした学校教育活動の一環として多様な地域人材を配置する事業経費の一部を補助するもので、配置するのは地域のシルバー人材や退職教職員、大学生等一万人。うち義務教育分が9千人、高校分が1千人。
また新しい時代にふさわしい教育制度の柔軟化を進める。予算額は5800万円。
この中では、新たに小中一貫教育による学校段階間の円滑な接続を目指した先導的な取り組みに関する調査研究、また新たにフリースクール等の教育内容や運営の実態を調査し、今後の位置付け等の検討を行う。
このほか大臣官房国際課が中心となって進める事業だが、前年度に引き続いて国際バカロレア認定校を平成30(2018)年までに200校にする取り組みを続ける(平成27年1月現在、認定校は20校、候補校等は13校)。
認定校を増やすため、国際的に通用する大学入学資格(IB資格)を日本語で取得できるプログラムの開発を続けている。同省では、最も早いケースとして、平成27年4月に日本語ディプロマプログラム(DP)課程を開始(高校2年生)、平成28年11月に国際バカロレア試験を実施(高校3年生)、平成29年1月に試験結果を通知、同年3月に卒業というスケジュールを想定している。
日本語DPの対象科目となるのは、「歴史」、「経済」、「物理」、「化学」、「生物」、「数学」、「知の理論(TOK)」、「課題論文」、「CAS(創造性・活動・奉仕)」。