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全私学新聞

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記事2016年11月3日 2390号 (1面) 
広域制通信制高校制度の抜本的見直しを
全審連が高崎市で総会開催
県担当者からは “他県の状況把握は困難”の声
通信制高校に関して根本的議論求める意見

全国私立学校審議会連合会(近藤彰郎会長=東京都私立学校審議会長、八雲学園中学高校理事長・校長)は、10月20・21の両日、群馬県高崎市内のホテルで第71回総会を開いた。この中で同連合会は足かけ16年、文部科学省に改善を要望し続けている「広域通信制高校問題」について、文科省の担当官も招き集中審議を行った。


全審連総会には、各都道府県から200人弱の私立学校審議会委員と担当部局職員らが出席した。冒頭、あいさつした近藤会長は、高校等就学支援金の詐欺容疑で逮捕者まで出た広域通信制高校に関して、全審連は16年前から問題があると文部科学省に改善を要望してきたが、漸く今年、同省が検討会議を設置し見直しを始めた経緯等を説明した上で、文科省に今後もしっかりと理解して頂くべく、物申していきたいと語った。  広域通信制高校問題は全審連で小・中学・高校問題を扱う第3専門部会で話し合われた。協議題は、(1)「私立高等学校通信制課程における運営の適正化について」、(2)「広域通信制高等学校の無認可サポート校への対応について」で、今年は、文部科学省から柿澤雄二・初等中等教育局初等中等教育企画課学校制度改革室専門官を招いた。柿澤専門官は、同省が今年3月31日に策定し、平成28年度から30年度末にかけ実施する「広域通信制高校に関する集中改革プログラム」の進捗状況や今年9月に公表した広域通信制高校に関する実態調査結果等について説明。説明に先駆けて、「(同省の広域通信制高校問題への対応が)遅れたことについて、重く受け止めている。(9月30日策定の)ガイドラインは初めの一歩」と語り、今後、広域通信制高校の質確保・向上に積極的に取り組んでいきたいと語った。  文部省の説明後、出席の私学審議会委員からは、「(今回、犯罪の舞台となった)株式会社立学校の制度をなくしていくことは考えていないのか」「ガイドラインを作ったが、そもそも通信制高校とは何かを話し合っていない」、「(逮捕者まで出した)ウィッツ青山学園高校は伊賀市の教育特区の株式会社立学校。しかし保護者は学校法人立の学校と区別がつかない。県は困惑、無力感を感じている」といった声が上がった。その後の委員等による情報・意見交換では、協議題に関して、サテライト施設への立ち入り調査を行っている県も見られたが、現実問題として実態把握には限界があり、特にサポート校の活動については困難、手が回らないと答える県担当者が相次ぎ、制度的な見直しを求める意見が数多く聞かれた。  また、「高校教育の質保証の重要性が叫ばれている中で、卒業の要件を厳しきすべきだ」「無認可施設が全日制高校化している。サポート校は学校ではないことを発信する必要がある」といった意見が聞かれた。全審連は同省に対して制度の抜本的見直しを確実に実施するよう、これまで以上に強く申し入れを行っていくことなどを確認した。

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