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記事2017年1月13日 2396号 (1面) 
私立大学等改革 総合支援事業に タイプ5「プラットフォーム形成」
文科省平成29年度予算詳報

文部科学省はこのほど平成29年度私学助成関係予算案の詳細を明らかにした(前号で一部既報)。それによると、私立大学等経常費補助は前年度比同額の3153億円で、そのうち自らの特色を活かして改革に取り組む大学等を重層的に支援する特別補助(予算額464億円)では、「私立大学等改革総合支援事業」(同176億円)、「私立大学研究ブランディング事業」(同55億円)、「経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等の充実」(同102億円)等を実施する。


複数校の申請に基づき採択


私大研究ブランディング事業は選定校拡大


このうち「私立大学等改革総合支援事業」は、高等教育の質的向上のためには大学全体の8割を占める私立大学の改革支援が急務との考えから、各タイプに対応した改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援するもの。176億円には一般補助分が含まれている。  平成29年度からは、従来からのタイプ1「教育の質的転換」(選定校350程度)、タイプ2「地域発展」(同160校)、タイプ3「産業界・他大学との連携」(同80校)、タイプ4「グローバル化」(同80校)に加えて、タイプ5「プラットフォーム形成」(同5〜10グループ)を新設する。  新設のタイプ5は、各大学等の特色化・資源集中を促し、複数大学間の連携、自治体・産業界等との連携を進めるためのプラットフォーム形成を支援する。  要件としては、教育機関・自治体・産業界等を含めたプラットフォームを形成し、地域における高等教育に関する中長期計画の策定、複数校の申請に基づき採択といった内容が考えられている。  また、タイプ4は、実践的な語学教育、外国人教員・学生の比率、地域のグローバル化への貢献などを念頭に置いた改革で、国際化推進に関するビジョン・方針の策定が必須となっている。  タイプ3は、長期インターンシップや交流協定に基づく単位互換の実施・交流実績、教育プログラムの共同開発・共同研究・共同FD・SDといった改革が対象。  タイプ2「地域発展」は、自治体との包括連携協定の締結、全学的地域連携センターの設置、地域社会と連携した地域課題解決のための教育プログラム等で、三大都市圏にある収容定員8千人以上の大学等は対象外。  タイプ1は、全学的教学マネジメント体制の構築、学生による授業評価結果の活用など全学的な体制での教育の質的転換、また多面的・総合的な入試への転換やアドミッションオフィスの組織改善など入学者選抜体制の充実強化といった高大接続に積極的に取り組む大学等を支援する。  一方、「私立大学研究ブランディング事業」は、学長のリーダシップの下、大学の特色ある研究を基軸として全学的な独自色を大きく打ち出す取り組みを行う私立大学に、施設費・装置費・設備費・経常費を一体的に支援するもの。55億円の経常費に加え、施設・装置に11億円、設備費に13億円を支援、予算総額は79億円となる。事業のタイプとしては、A「社会展開型」、B「世界展開型」があり、Aは、地域の経済・社会、雇用、文化等の発展・進化に寄与する取り組みで、申請は地方大学・小規模大学のみ。Bは、先端的・学際的な研究拠点の整備により、全国的あるいは国際的な経済・社会の発展、科学技術の進展等に寄与する取り組み。新規選定は前年度より10〜20校増の50〜60校程度になる予定で、事業体制、事業内容が総合的に審査される。申請は1大学1件限り。経常費は最大5年間にわたり定額を措置する(1校当たり年額2千万円〜3千万円程度)。  さらに、経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等の充実は、経済的に修学困難な学生に授業料減免事業を実施している私立大学等に支援を充実、学生の経済的負担軽減のために多様な支援策を講じる大学等を支援するもの。減免対象人数を29年度は、前年度より約1万人増やし約5・8万人する。私立大学の授業料減免等予算額は102億円、一方、国立大学の授業料減免予算額は333億円。大学生の約8割は私大生ということを考えると、国立大学については元々の授業料の低さ(私大に比べて)に加え、授業料減免でも私大生と比べかなり優遇されている、といえる。


 

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