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記事2017年1月23日 2397号 (1面) 
運動部活動における教員負担を大胆に軽減
文科省平成29年度予算詳報

文部科学省は平成29年度に教育課題に対応した教職員定数の戦略的充実とともに、学校現場における業務の適正化の推進を充実する。主に公立小・中学校を対象とした事業だが、教員の労働環境整備と子供たちと向き合う時間を確保することを目的にしたもので、具体的には、(1)運動部活動における教員の負担を大胆に軽減する、(2)教員が担うべき業務に専念できる環境を確保する、(3)長時間勤務という働き方を見直す、(4)教育委員会における業務改善の推進体制を強化する(学校現場における業務改善加速事業)といった改革をパッケージで推進する。


休養日等の設定含めたガイドラインを策定へ


スポーツ医・科学的に調査研究


このうち(1)の運動部活動における教員の負担を大胆に軽減する事業に関しては、運動部活動に関する総合的な実態調査・スポーツ医科学の観点を取り入れた適切な練習時間等に関する調査研究を実施し、その結果を踏まえ、平成29年度中に、適切な練習時間や休養日の設定等も含めた「運動部活動に関する総合的なガイドライン(仮称)」を策定する。  運動部活動の在り方に関する調査研究事業は29年度の新規事業で、一億円の予算を計上、運動部活動に関する実態調査、運動部活動に関するスポーツ医・科学的調査研究、民間活力による運動部活動支援体制の構築のための実践研究を行うことにしている。  同省では運動部活動については、生徒に学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資する重要な活動として教育的側面での意義が高いと評価する一方で、適正・適切な休養を伴わない、行き過ぎた活動は生徒、教員ともにさまざまな無理や弊害を生むことがある、としており、また平成13年度以降、運動部活動に関しては詳細な調査が行われていないため調査実施の必要性を指摘している。休養日等の適切な設定を促す通知も発出する予定。  さらに地域のスポーツ指導者が、教員がいなくても単独で部活動の指導・引率に当たれるよう、学校教育法施行規則を平成28年度中に改正し、「部活動指導員(仮称)」を法令上明確化し、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」に部活動指導員活用に際しての留意事項(学校教育活動の一環としての部活動の意義や校長の監督下にあることを理解させる研修の実施、運動部活動中に発生した事故への対応等)を明確化する。  こうした方針は昨年6月に同省の「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」がまとめた報告が打ち出していた。  (2)の教員が担うべき業務に専念できる環境を確保することに関しては、学校給食費の会計業務の負担軽減(学校を設置する地方自治体が自らの業務として行う)等に関する実践研究を実施する。多くの学校では学校徴収金の徴収・管理業務を教員が担っている。とりわけ未納が多い学校では未納金の徴収が教員の大きな負担となっている。  また、校務に係る業務分析・標準化及び、ICTを活用した統合型校務支援システムの共同調達・運用のための指針を作成する。さらに(4)の「学校現場における業務改善加速事業」の中で、教員の業務見直しに係る実証研究を実施、また、「補習等のための指導員等派遣事業」を活用して、必要に応じ、教員の授業準備や簡易入力作業、連絡調整等の業務を補助する「業務アシスタント(仮称)」を配置する計画。  文科省の先のタスクフォース報告では、そのほか教員の家庭事情(子育て、介護等)を背景として、柔軟な勤務形態が求められている状況もあるとして、特別な場合に限り、セキュリティ環境を確保した上で、勤務時間中において学校外で業務を行うことのできる環境整備(リモートアクセス等)を検討する必要があると指摘している。  (3)の長時間勤務という働き方を見直すことに関しては、独立行政法人教職員支援機構の研修等を活用した意識改革を推進することにしている。また(4)の事業の中でも勤務時間管理の徹底、業務改善アドバイザーの学校への派遣、長時間勤務是正のための周知・啓発キャンペーン等を実施する。


 

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