こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2017年11月3日号二ュース >> VIEW

記事2017年11月3日 2344号 (0面) 
地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議
6大学からヒアリング
まとめに向け論点整理行う

内閣府の「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」(座長=坂根正弘・コマツ相談役)が10月30日、東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館で第12回会合を開いた。六つの大学の関係者からのヒアリングと、まとめに向けた論点整理などを行った。年内に最終報告を取りまとめる。  鵜ア実・美作大学学長は、地元津山市は人口減少が著しく、他県から学生を集めなくては大学経営が成り立たないとの窮状を訴えた。同様の地方都市に立地する私大の公立化が進んでいる現状なども取り上げ、私大支援を目的とした交付税を自治体に交付するなどの公的支援の実現と、入学定員20〜30人程度の小規模学科でも経営が成り立つような設置基準の改訂を要望した。  村山光博・長岡大学学長は「地域社会の発展に貢献する大学」というビジョンの下での取り組みについて発表。長岡に所在することを「地域社会・産業界の協力が得られる」、小規模であることを「きめの細かい教育を組織的にできる」という強みと捉えて、人材育成や地域活性化に取り組んでいる、とした。そして「大都市一極集中に対置し得る安定的な財政基盤や人材資源をどう確保するかが、地域と大学の課題だ」とまとめた。  黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長は、主に外部資金の導入について発表した。これまでに取り組んできた多様な地域連携・産学連携事業を説明した上で、「地域の特性を生かした教育研究の実現が地方大学の財産となる」「今後は地域振興推進のためのプラットフォームを構築した上での産学官金連携での資金集積を図る必要がある」といった考え方を示した。  これら3大学のほか、東京の大学が地方にキャンパスを置いたケースについて、順天堂大学、東京情報大学、上智大学が発表を行った。  ヒアリングの後は論点整理の検討を行った。論点は「地方の特色ある創生のための地方大学の振興等」「東京の大学の定員の抑制に関する基本的な方向性」「若者の雇用機会の創出」の三つ。このうち定員抑制については委員の意見が分かれており、「東京23区を抑制の対象とする」という方向性を記した上で「抑制が適当だという意見」と「定員抑制に対して慎重な意見」の両論併記が検討されている。「スクラップ・アンド・ビルド」で定員増加を伴わずに学部・学科を改編するとの方向性や例外事項の扱いなどについても両論併記となる見込み。年内にあと2回会合を開き、最終報告に向けた議論を重ねる。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞