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記事2017年2月23日 2400号 (1面) 
地方大学振興等有識者会議
私大団体連、日短協から意見聴取
時代に合った地域づくり等求める

内閣府のまち・ひと・しごと創生本部が設置した「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」(座長=坂根正弘・コマツ相談役)が2月16日、東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館で第2回会合を開いた。日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会をはじめとする6団体からヒアリングを行った。  同有識者会議は、地方大学の振興、地方の雇用創出・就業支援のほか、東京での大学の新増設の抑制および地方移転促進の方策などを検討している。ヒアリングでは私大団体連、日短協以外に全国市長会、公立大学協会、国立大学協会、全国高等学校PTA連合会が発表を行った。私大団体連からは佐藤東洋士・桜美林大学理事長・総長、住吉廣行・松本大学長が出席し、まず「時代に合った地域をつくる」ことが実現しないと、地方からの人の流出は止まらないと指摘。その上で奨学金制度の拡充など「学生への経済支援の充実」、地域の課題に対応したPBLなどの実施や国内留学の推進といった「教育の質向上への支援」、地域研究力の育成や地方連携大学院支援事業などの「研究の質向上への支援」、私立大学等改革総合支援事業の拡充などによる「私立大学と地域をつなぐプラットフォームの形成」、大学ごとに社会貢献係数(仮称)を算出しての「私学助成における地方活性化に対する貢献を重視した施策の導入」という五つの観点から、地方活性化の支援策を提言した。日短協からは麻生隆史・山口短期大学長が出席し、短大の「女性の社会進出に貢献している」「地域に根ざす身近な大学であり、多様な人材育成を行い卒業生が幅広い分野で活躍している」「地域コミュニティとしての役割を果たしている」といった特性を説明。短大振興は地方創生・地域活性化につながるもので、若者の雇用・地域定着にも短大の活用が重要だ、とした。その上で少子化などにより短大の財政基盤は悪化傾向にあるため公的支援の強化方策の検討を要請した。全国市長会は、私立大学等経常費補助金の交付基準について、地方大学の入学定員充足率の基準を緩和すること、国立大学運営費交付金の確保など地方大学の運営基盤の充実を図ること、大学の東京一極集中を是正することの必要性などを訴えた。また、北海道網走市の東京農業大学生物産業学部は「地方の大学」ながら、大都市圏への学生集中の是正が目的である入学抑制の対象とされている例などを挙げて、地方大学に対する柔軟な対応を求めた。国立大学協会は主に組織見直しの進行状況について解説、公立大学協会は、地方創生そのものを教育・研究する学部などがあることを挙げて公立大学振興の必要性を訴えた。全国高等学校PTA連合会は、県外への進学は家庭の経済的負担が重いといった保護者の立場での意見などを述べた。  その後の議論では特に東京での大学の新増設の抑制と地方移転促進について意見が分かれ、大学関係者の委員からは「強制すべきでない」との声が上がった。ただ、18歳人口減少は避けられないとの認識は共有されており、「各地方と東京との間の学生の流動性を高める」「各地方に産業の特性に合った学部などを新設し、地域振興と大学振興を両立する」との方向性も出された。

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