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記事2017年2月3日 2398号 (1面) 
文科省 第11回私大等振興検討会議開催
私大等の財政基盤について討議
私学助成の在り方等が論点に

文部科学省の「私立大学等の振興に関する検討会議」(黒田壽二座長=金沢工業大学学園長・総長)は1月25日、同省内で第11回会議を開き、私立大学等の財政基盤の在り方について審議を進めた。


 審議に先立ち同省が、私立大学等の財政基盤の在り方に関するこれまでの委員の意見を要約・整理した資料(A4判5ページ弱)等を提示、説明。  その後の審議では委員から、学納金の引き上げや補助金の増額が難しい環境の中で、グローバル化の進展や地方創生の必要性の高まりといった環境変化に適切に対応するためには、私立大学等の確固たる財政基盤の確立が必要で、そのためには補助金の増額、地方公共団体からの支援増、教育債券を発行して補助金に振り向けることの検討、国公私立大学間の格差を是正する必要性等が指摘された。その一方で、「国の財政当局や国民、地方自治体に私立大学等への支援拡大に十分な理解を得るためには一層の努力が必要だ」という意見、「公的資金を受けているのだから経営の透明性の確保、情報公開、説明責任の徹底が必要」とする意見、「補助金が実際どう使われているかの明示が重要」といった意見などが聞かれた。  この日は、さまざまな意見が出されたが、議論が一定の方向性に集約されたわけではない。  文科省の村田善則・高等教育局私学部長は、平成28年度末までに議論の熟度が高い項目については中間的報告を取りまとめ、その他の項目については4月以降、引き続き議論を続けること、また、国公私立大学共通の課題については中央教育審議会大学分科会での議論となるなどと語った。第11回会議では、同会議の下に設けられている、「大学のガバナンスの在り方に関するワーキンググループ」の検討状況が報告される予定だったが、報告・審議は2月14日の次回会議に持ち越されることになった。次回会議では同検討会議の中間的報告の骨子についても審議する。  文科省が提示した5ページ弱の資料「私立大学等の財政基盤の在り方に関する主な意見について」は、(1)財政基盤の確立について、(2)私学助成の在り方についてで構成されている。  このうち(1)の財政基盤の確立に関しては、私立大学等が環境変化に適切に対応し、建学の精神を踏まえながら、主体的・自律的に多様で特色ある教育研究を行うために必要な財政基盤を確立するにはどのような方策が考えられるか、を論点とし、「高等教育の全体像の中での私立大学の位置付けを検討し、国として私立大学をどのように育てていくか方向性を示すべき」、「私学振興助成法における当初の目標と現在の状況を踏まえ、実態としてどのような目標を掲げるべきか、国立大学の状況も踏まえながら検討すべき」、「中小規模私立大学に焦点化した資金循環の在り方など、経営基盤の強化方策を検討すべき」、「地方貢献の意味では国公私立大学の区分はなく、私立大学であっても地方公共団体として相当の財政支援を開始すべきではないか」といった委員の意見が記載されている。  (2)の私学助成の在り方に関しては、私立大学等の経常経費に占める私学助成の割合が1割を切る中で、私立大学等の振興に向けた私学助成の在り方としてどのようなことが考えられるかを論点にして、「公財政支出を増やすとして、人件費、教育費、研究費、施設設備費等のどの部分に充当すべきか、私学助成の一般補助、特別補助のいずれを伸ばすべきか等、検討すべき」などの意見が記載されている。  また、私立学校振興助成法における目的や私立大学等が果たしている役割などを踏まえた私学振興方策として、私学助成においてどのような方策が考えられるかの論点に関しては、「ニーズに対応して、既存の学部学科を見直し、新規分野への展開を進め、変化に柔軟に対応することが重要であり、特に地方の大学や都市郊外の中小大学の強みになる」、「経営状態が健全なうちにホールディングカンパニー型式で合併し、人的・資金的な規模のメリットの恩恵を受けながら、各大学の建学の精神を生かして運営をしていく方策について検討する必要があるのではないか」、「大学の諸制度や税制等についてもホールディング化に合わせて所要の見直しが必要ではないか」、「個々の私学が合併に踏み切るためには、公正な仲介者と地域社会や国の支援が必要ではないか」などの意見が記載されている。 このほか私立大学等の振興に関する検討会議では、中央教育審議会大学分科会で審議中の「今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する論点整理(案)」や、昨年12月22日に閣議決定された政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)」の概要が報告された。

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