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記事2017年3月13日 2402号 (1面) 
我が国の高等教育の将来構想を諮問
中央教育審議会 2040年頃の社会見据え
各高等教育機関の機能強化検討
国公私の壁越えた連携・統合も

第9期中央教育審議会最初の総会(第111回)が3月6日、東京・霞が関の文部科学省で開かれ、会長に北山禎介・三井住友銀行取締役会長が選任された。第8期に続く就任。この日は、松野博一・文部科学大臣に代わって義家弘介副大臣が、「我が国の高等教育に関する将来構想」について諮問を行ったほか、第3期教育振興基本計画(平成30〜34年度)の策定に向けて、改めて教育振興基本計画部会を設けることが了承された。高等教育のグランドデザインについては、平成17年1月の中教審答申「我が国の高等教育の将来像」(諮問は平成13年4月)以来、12年ぶりの議論となる。


今回の諮問は、人工知能等を活用する「第4次産業革命」が既存の産業構造や就業構造、人々の生活を一変させる可能性があり、また経済社会のグローバル化や本格的な人口減少社会の到来を迎える中で、国民一人一人が実りある生涯を送り、わが国が持続的な成長・発展を実現するには、人材育成と知的創造活動の中核である高等教育機関に、より一層重要な役割を果たすことが求められていると指摘。その実現のために各高等教育機関の役割・機能を強化、教育研究の質の一層の向上が必要だとしている。その上で諮問ではおおむね2040年ごろの社会を見据え4点の検討を要請している。  1点目が各高等教育機関の機能強化に向け早急に取り組むべき方策。具体的には大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校それぞれの機能強化に向けて教育課程や教育方法の改善、学修に関する評価の厳格化、社会人学生の受け入れ、他の機関と連携した教育の高度化等の観点から早急に取り組むべき施策や制度改正。  2点目は学修の質の向上に向けた制度等の在り方。具体的には「学位プログラム」の位置付け、学生と教員の比率の改善、ICTの効果的な利活用等の課題について、設置基準、設置審査、認証評価、情報公開の在り方を含めた総合的かつ抜本的な検討を要請している。その際、大学設置・学校法人審議会の審議や認証評価機関の取り組みとの連携に留意するよう求めている。また学位等の国際的通用性の確保、高等教育機関の国際展開、外国人留学生受け入れや日本人学生の海外留学の促進、地域の産業界等との連携による人材育成、社会人が何度でも学び直せる環境の整備、高等教育機関間あるいは企業等との間での教員・学生の流動性向上、効果的運営のための高等教育機関間の連携等。  3点目は今後の高等教育全体の規模も視野に入れた地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方。具体的には既存の学部・学科等の構成や教育課程の見直しを促進するための方策、高等教育機関間、高等教育機関と地方自治体・産業界との連携強化方策も含め地域における質の高い高等教育機会を確保するための抜本的な構造改革の在り方。その際、分野別・産業別の人材育成の需要について十分に考慮すること、国公私の設置者別の役割分担の在り方や国公私の設置者の枠を超えた連携・統合等の可能性等も念頭に置いた検討を要請している。  4点目は高等教育の改革を支える支援方策の在り方。具体的には教育研究を支える基盤的経費、競争的資金の充実、透明性の確保の観点も踏まえた配分の在り方等の検討、同時に学生への経済的支援の充実など教育費負担の在り方について。  このうち今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関しては、今年2月に第8期中教審が大学分科会を中心に議論した結果を「論点整理」としてまとめており、今後、この論点整理を踏まえて審議が進むことになる。  また、地方大学の振興については、山本幸三・まち・ひと・しごと創生担当大臣の下に今年2月に有識者会議が発足、審議がスタートし、5月中旬を目途に中間報告書を、今年夏には報告書をまとめることにしているため、その方向性についても検討することにしている。  松野博一・文部科学大臣は3月7日、文科省内での記者会見で、諮問事項の3点目に挙げた、「国公私の設置者の枠を超えた連携・統合」については、「私立大学の公立化はあったが、国公私の壁を越えた統合は事例がない。どういった形態があり得るのか、良い点、注意すべき点も含め総合的に検討をしてほしい。統合といっても一つの大学になることもあるかもしれないが、一つのネットワークとして存在していく形もある。多様な形が想定できる」と語っている。  複数の大学の連携・統合については、文科省の「私立大学等の振興に関する検討会議」が昨年12月に開いた第10回会議で、企業の場合でいう「ホールディングカンパニー型式」の採用の検討や、国公立も加えた連携・統合のメリット、デメリットの整理を求める意見等が出されていた。  また審議のスケジュール感について松野大臣は、「高等教育の根本に関わる議論だけに最終答申までに1年半は必要だろう。しかし答申がまとまったものから順次出していただく。(まち・ひと・しごと創生総合戦略に関わる部分については)速やかに検討してほしい」との考えを示した。


1年半程度で「最終答申」

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