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記事2017年3月3日 2401号 (1面) 
英語嫌いの公立校生徒、半数近くに
文部科学省 中3生の英語力調査結果公表
「英語の学習が好きではない」
前年度比2.2ポイント増の45・4% 4技能のバランスも課題

文部科学省はこのほど全国の国公立中学校3年生約6万人(約600校)と、調査校の英語担当教員を対象にした平成28年度英語教育改善のための英語力調査結果速報を公表した。英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)がバランスよく育成されているかの観点から英語教育の成果と課題を検証したもの。報告書によると、4技能のバランスのよい育成には依然として課題があり、特に書く能力では無得点者が15・6%に上るなど前年度と同様の課題が見られた。また生徒の「英語の学習は好きではない」との回答が前年度より2・2ポイント増え45・4%に上ったことも分かった。


この調査は、昨年7月に実施、「話すこと」に関しては、約2万人を調査した。1校当たり1クラスが対象。世界標準となっているCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のA1を中心にレベルを測定できるように設計されている。A1レベルは実用英語検定3〜5級といったレベル。  生徒全体の英語力(以下、公立学校のデータが対象)については、国の目標(A1上位レベル以上)の生徒の割合は、「読む」が前年度の26・1%から25・3%に、「話す」では32・6%から31・2%に微減、「聞く」は20・2%から24・8%に、「書く」は43・2%から50・8%と微増した。  政府の「第2次教育振興基本計画」(平成25―29年度)では、中学校卒業段階において英検3級程度以上を達成した割合が50%としているが、「書く」に関してはこの目標が達成された。しかしその他の3技能はまだ達成されていない状況。  ただし「書く」技能に関しても、無得点者が15・6%、約6人に1人に上り前年度と比べ3ポイント上昇する結果となった。  生徒の英語学習に関する意識では、「英語の学習は好きか」との設問に対して、「そう思う」と回答した生徒は22・9%、「どちらかといえば、そう思う」が31・1%、「どちらかといえば、そう思わない」が26・6%、「そう思わない」が18・8%で、「英語が好きではない」と答えた生徒の割合は前年度の43・2%から45・4%に微増していた。「話す」「書く」のテストスコアが高い生徒ほど英語好きの割合は高い。また、「英語が好きではない」と答えた理由としては、「英語そのものが嫌い」が全体の33・7%を占め最も多く、次いで「英語のテストで思うような点数が取れない」(16・3%)、「文法が難しい」(13・8%)、「単語のつづりや文字を覚えるのが難しい」(12・5%)との回答が多かった。  将来の英語使用のイメージでは、「高校入試に対応できる力を付けたい」が38・1%で最も多く、次いで「海外旅行などをするときに、英語で日常的な会話をし、コミュニケーションを楽しめるようになりたい」が30・4%で多かった。前年度との比較では前者が増加、後者が減少、その他の選択肢の割合に大きな変化は見られなかった。  一方、英語担当教員に対する調査では、生徒の英語力に関する学習到達目標をCAN―DOリストの形で技能別に設定していると答えた学校は45・7%で、前年度の33・4%から12・3ポイント増加していた。「今は設定していないが、今後設定する予定」との回答は45・8%だった。  また英語の授業における言語活動の指導を4技能別に教員に尋ねたところ、「聞く」に関しては、「よくしている」と「どちらかといえば、している」の割合の合計が前年度の73・5%から72・1%に低下、一方、「話す」に関してはその割合が前年度の53・5%から57・9%に4・4ポイント増加していた。同様に「読む」は3・7ポイント増、「書く」は1・6ポイント増えていた。

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