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記事2017年4月13日 2405号 (1面) 
「骨太の方針2017」の議論開始
経済財政諮問会議 成長戦略の中心に 人材への投資で生産性向上
大学の教育力向上に焦点

安倍総理が議長を務める政府の経済財政諮問会議が3月30日に開かれ、「骨太の方針2017」の策定に向けた議論が開始された。骨太の方針は次年度の政府予算案編成や概算要求の基本となるもの。この日の会議では「人材への投資による生産性向上」を成長戦略の中心に据えることを確認。同会議の4人の民間議員や麻生財務大臣、塩崎厚生労働大臣、黒田日銀総裁等から大学改革が極めて重要との意見が相次いだ。大学の教育力向上が今まで以上に大きくクローズアップされそうだ。


3月30日の会議では、事務局の内閣府政策統括官から日本の生産年齢人口が、米国や英国とは対照的に、平成9年を境に減少を続け、またわが国の労働生産性は米国、フランス、ドイツ、英国に大きく水をあけられおり、日本が成長するためには働き方改革で長時間労働を改め、生産性向上に結び付けることが重要なことや、日本は他の先進国と比べ物的資本ストックに比べて人的資本ストックが弱く、官民全体として人的資本への投資が脆弱なこと等を説明した。  その後、民間議員を代表して高橋進・株式会社日本総合研究所理事長が、骨太の方針に盛り込むべき重要課題として、働き方改革、子育て支援等とともに、教育改革(高等教育へのアクセスの機会均等、教育の質の向上、大学再編・大学経営の自由度向上による活性化・教育力向上等の大学改革の一体的取り組み推進、IT・英語・リカレント教育の強化、格差固定化の回避(機会均等の強化、所得再分配機能の在り方)等の重要性を指摘。  またイノベーション創出には、寄附の拡大(寄附文化の醸成、環境整備、税制を含む関連制度の在り方)、産学連携促進、IT人材育成、高度外国人材等の受け入れ等を提案した。  これに対して麻生財務相は、持続的成長には人材への投資による生産性向上が大事で、働き方改革はその第一歩であり、教育改革については、「企業が以前のように人材に投資する余力がなくなっている。大学改革をぜひ行ってほしい」と語った。  ただし人材投資は基本的には民間の創意工夫によって行われなくてはいけないとし、政府としては規制改革や構造改革等による側面的な支援が基本で、財政健全化と整合的に進める重要性を強調した。  一方で世耕経済産業相は必要な政策は拡充させる必要性を強調した。  塩崎厚労相は、大学改革等を通じたイノベーション改革の実現で新たな商品、サービス、ビジネスモデルの創出等の重要性を指摘。厚労省としては年功ではなく能力で評価する人事システムを導入する企業への助成の創設、高レベルなIT資格が取れる長期訓練の導入等による、厚みのある中間層の人材育成などに取り組む考えを強調した。  また、「大学改革が議論されているが、今のままのガバナンスでは本当の意味のベストなリソース・アロケーション(=資源配分)はできないだろう」などと語り、大学のガバナンス改革の必要性を強調した。  黒田日銀総裁は、大学の教育・研究の重要性がますます大きくなっているとした上で、「大学の経営の自由度を高めるとか、あるいは民間との研究開発の協力をより進めるとか、教育の面でも更に力を入れていかないと、日本経済の前進は難しい」と訴えた。  また、民間議員の高橋日本総研理事長は、米国の学生と比べ日本の大学生の学習時間が少ないこと(図表参照)、大学の東京への集中が加速、若年人口の地域還流を大学改革と絡めて検討する必要性や大学のリカレント教育の拡充の重要性、日本の大学の事務局体制の脆弱さなどを訴え、「大学改革を一つの大きな目玉とするべきではないか」と語った。  会議での教育改革論議では、財源を巡る論議はなく、石原内閣府特命担当大臣は、「教育国債」や「こども保険」といったさまざまな財源論が与党内で行われていることは承知しているとした上で、教育国債は将来世代へ負担を先送りする赤字国債であり、「こども保険」は、家庭によって子供の有無、数に違いあることからさまざまな議論が起こるとし、教育については機会均等や質の向上などを含め、これから幅広く議論していくことが肝要と語った。

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