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記事2017年4月13日 2405号 (1面) 
地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議
“東京圏の大学の入学定員数削減現実的ではない”
坂根座長 議論に先立ち意見書提示

政府のまち・ひと・しごと創生本部の「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」(座長=坂根正弘・コマツ相談役)が4月3日、東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館で第4回の会合を開いた。同会議は地方大学の振興、地方の雇用創出・就業支援などについて議論を重ねており、5月に検討の方向性および中間まとめを公表し、パブリックコメントを実施する予定。  方向性については、会合に先立って坂根座長がまとめた意見書を基に議論を進めた。地方大学に対し、特色づくりとなる大学改革・再編や、地域の産業構造などを踏まえた取り組み、地方大学間の域内連携、東京圏の大学・研究機関との積極的連携(単位互換制度など)などを求めている。また、若者を地域に定着させる方策として、東京圏の大学の学部・学科の新増設の抑制や入学定員数削減が考えられているが、坂根座長は「新増設の抑制の議論はともかく、入学定員数削減を議論の目的にするのは現実的ではないのではないか」とした。意見書はほかに、若者雇用の創出に向けた取り組みとして、企業研修に対する地方大学の役割の検討、大手企業の地方採用枠の導入、奨学金返還支援制度の全国展開などを求めている。これに委員から出た意見などを反映させ、会議としての検討の方向性を公表する予定。  この日の議論は特に、東京圏の学部・学科の新増設抑制、定員削減について活発に行われた。委員からは「大学で学ぶ機会を抑えていいのか」「海外へ行けと言う一方で東京に行くなではおかしい」などの指摘が出るなど、若者の東京志向は止められず、地域に縛り付けるような方策は妥当でないとの認識はほぼ共有された模様。ただ、何かしら18歳人口の減少への対応は必要であり、「古い学部・学科の解体を新設の条件としてはどうか」などの意見が出た。また、地方大学という枠で扱うべき問題でありながら、現状では設置者ごとに支援の仕組みなどが分かれていることを取り上げて「国公私が連携した形で行ってはどうか」との意見も出た。  次回は4月18日。5月にもう一度予定しており、さらに議論を深めて検討の方向性および中間まとめを公表する予定。

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