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記事2017年4月3日 2404号 (1面) 
第13回私立大学等の振興に関する検討会議開く
審議取りまとめ、4月以降に
地方大学振興ではさまざまな意見

文部科学省の「第13回私立大学等の振興に関する検討会議」が3月28日、同省内で開かれた。  同会議は今年3月末までに審議の取りまとめを行う予定だったが、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部に「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」が設置され、2月に初会合を開き、5月中旬には中間報告を取りまとめる予定のため、同検討会議も取りまとめを延期、委員の任期も延長することとなった。同検討会議の次回・第14回は4月中旬、第15回は5月中に開催の予定。  この日は、3月6日の文部科学大臣による諮問「我が国の高等教育に関する将来構想」における具体的審議事項や今後のスケジュール感、内閣官房の有識者会議の審議状況や予定、社会人や留学生の動向、前回の主な意見等が説明された後、それらについて審議が行われた。  委員からは、有識者会議で地方大学の振興、東京の一極集中是正のため、東京の大学の定員抑制といった議論が行われていることに、「定員管理だけで対応できない。日本の柔軟な構造を壊さないように慎重な検討をしてほしい」、「都市部の大学の定員管理は大学改革に逆行するものだ」といった意見が出された。  一方で、「定員増しないと改革できないという意見には無理がある」といった意見も出され、また地方の短大関係者からは「全ての人が高等教育の機会を得られるよう給付型の奨学金を増やしてほしい。海外と比べて非4大型の高等教育機関へのアクセスがまだ少ない」、「地方へ都市部の大学を誘致することは全く地方活性化に繋がらない。私は反対」といった意見も出された。  今後、大学の振興にとって不可欠な社会人の受け入れ(増)に関しては、「大学側にも問題がある。カリキュラムは18歳を前提にしている。企業もマスター(修士の学位)をとっても、ドクター(博士の学位)をとっても処遇に反映されない。企業が大学での学びを認め、援助していくことが大事」、「社会人が(大学院等で学ぶことに)企業は修了後、会社を辞めてもっと条件の良いところへ出てしまう、という警戒感をもっている」、「社会人の受け入れに関しては、労働構造そのものを変革しないと社会人の学び直しはない。大学団体は一緒になって(変革を)主張していくべきだ」といった意見も聞かれた。  このほか留学生の受け入れ増のため、国策としての日本語教育の普及、宿舎の問題の改善、資金面(学費、生活費)への支援を整えていくことへの配慮を訴える意見、教職協働の重要性を指摘する意見も聞かれた。  また、ガバナンスに関しては、公共性確保のため、役員が自らレベルアップするのは難しい。職員の位置付けをしっかりしないといけない」、「認証評価は社会的にあまり認知されていない。学生の選択の基準になっていない」といった意見も聞かれた。  同検討会議は、第12回会合(2月14日に開催)で「これまでの議論のポイント」が示されており、そのポイントは、私立大学がこれまでに果たしてきた役割私立大学を取り巻く状況の変化と課題今後の私立大学振興の方向性について(私立大学等のガバナンスの在り方、私立大学等の経営力の強化、経営困難な状況への対応、私立大学等の財政基盤の在り方)今後の検討及び方策の推進といった項目建てで整理されている。

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