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記事2017年7月13日 2414号 (1面) 
大学入学共通テスト、実施方針を了承
文科省が検討・準備グループ開く
プレテスト等を経て平成32年度から実施
結果の提供方法などなお検討課題

文部科学省の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討・準備グループ(主査=岡本和夫・独立行政法人大学改革支援・学位授与機構理事)は、7月10日、同省内で11回目の会議を開いた。この日の会議の議題は、高大接続改革の一環として、現行の大学入試センター試験に代わって、3年後の平成32年度(平成33年度入学者選抜)から実施する「大学入学共通テスト」の実施方針案についての検討で、議論の末、これまで検討してきた同実施方針案を了承することを決めた。同省は近く大学入学共通テストの「実施方針」として公表する。


「大学入学共通テスト」の実施方針は、同テストの名称、目的、実施主体、実施開始年度、出題教科・科目等、記述式問題の実施方法等、英語の4技能評価、マークシート式問題の見直し、結果の表示、実施期日等、その他について定めたもの。  このうち現行のセンター試験に代わる新テストの名称は、「大学入学共通テスト」とし、目的は大学入学希望者を対象に、高校段階の基礎的な学習の達成程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力の把握。各教科・科目の特性に応じ知識・技能を十分に有しているかの評価を行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価する。  実施主体は引き続き大学入試センターで、問題の作成、採点その他一括して処理する。  実施開始年度は、平成32年度(33年度入学者選抜)からで、36年度からは高校の新学習指導要領に基づいた実施となる。高校の新学習指導要領は29年度中に文科省から告示される。36年度以降の実施方針については33年度を目途に策定・公表される予定。  出題教科(科目)は、国語(「国語」)、地理歴史(「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」)、公民(「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」)、数学(「数学T」「数学T・数学A」「数学U」「数学U・数学B」)、理科(「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」「物理」「化学」「生物」「地学」)、外国語(「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」)、専門学科科目(「簿記・会計」「情報関係基礎」)。  このうち「国語」「数学T」「数学1・数学A」については、マークシート式問題(共通テストではこれまでより思考力・判断力・表現力を一層重視した作問とする)に加え、記述式問題を出題する。  記述式問題の国語の出題範囲は「国語総合」(古文・漢文を除く)の内容で、数学では「数学T」の内容。  英語については、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を評価する。基本的には、今後、大学入試センターが認定する英語の資格・認定試験(英検やTOEFL iBTなど)を活用するが、制度の大幅な変更等を考慮して平成35年度までは共通テストの英語の試験を実施する。受検者の負担や高校教育への影響等を考慮し、高校3年の4月〜12月間の2回までの資格・認定試験の結果が入試センターを通じて受験大学に送付される。  この高校3年の2回受験については、資格・認定試験で高校2年時までに受験大学の求めるスコアより高い得点を上げていても(あるいは上級に合格していても)高校3年時の結果ではないため、大学入試には活用されない。そのため日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長)は現在、資格・認定試験の活用方法の改善を同省に求めている。  共通テストの結果について大学にどのように情報を伝えるかについては、1点刻みではなく、段階表示が検討されているが、29年度中に実施するプレテストの結果も参考に29年度中に結論を得るとしている。共通テスの実施期日は1月中旬の2日間。今後、29、30年度の2年間、数万人規模のプレテストを実施し、31年度初頭を目途に「実施大綱」を策定・公表(新学習指導要領に対応した実施大綱は35年度に策定・公表)の予定。

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