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記事2017年7月23日 2415号 (1面) 
広域通信制高校 質確保向上会議
指導監督等強化へ対応方策ほぼまとめる
次回7月31日に「審議のまとめ」
ガイドライン改訂 具体的留意事項盛り込む

文部科学省の広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(座長=荒瀬克己・大谷大学文学部教授)は7月21日、都内で第8回会議を開き、「審議のまとめ」のたたき台を検討、ほぼ意見が出尽くし、7月31日の次回会議で「審議のまとめ」を取りまとめることとなった。 また31日の会議では、昨年9月に同省が主体的な学校運営の改善のための取り組みや、所轄庁における実施校に対する指導監督の際に参照すべき指針として策定した「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」の改訂についても検討する。改訂案については同会議の下にワーキンググループを設置、添削指導を実施する上でのより具体的な留意事項など実務的な検討を行い、同会議に提案する。  ウィッツ青山学園高校での就学支援金不正受給問題や極めて不適切な学校運営等を受けて、文部科学省は昨年3月に「広域通信制高校に関する集中改革プログラム」を策定、それに基づきガイドラインが策定された。  しかし同省による点検調査でガイドライン策定後も次々と不適切な学校運営や教育活動が行われていることが判明、国としてさらに講ずるべき方策を整理、ガイドラインに反映するなど、さらに強い対応策を講ずることとなった。同省の株式会社立の広域通信制高校等を対象にした点検調査では、例えば一定の要件の下に認められている、テレビやラジオ等多様なメディアを活用して行う学習による面接指導時間数の減免を、減免の前提となる要件が守られず、一律に限度いっぱいまで適用、あるいは学校設定教科・科目に関して年間指導計画等がない、単なる体験活動を単位認定している、教員でない者に添削・面接指導を行わせている、学校設定教科・科目だけで10単位以上修得するよう指導するなど、高校通信教育の空洞化につながりかねない状況のため、より細かな留意事項を示していく。また、サテライト施設のうち、面接指導等の学校教育活動が行われる施設については「面接指導実施施設(仮称)」として所轄庁の認可が必要な学則記載事項とし、同施設に求められる教育環境等を明示する方針。さらに違法・不適切な学校運営があった場合に新たに補助金を減額して交付する仕組みを設ける。近年、増加が顕著な通信制高校における「通学コース」に関しては、「オプション」のため、通学コースを利用しない生徒と利用する生徒とで、受けられる指導や支援が大きく異なるというダブルスタンダードの状況が生じる恐れがあり、しかも高額の費用に見合わない内容の例も見られるとして、課題が少なくないことを指摘しているが、具体的規制には言及していない。こうした改善策に委員からは基本的に大きな異論はなかったが、「通信教育規定で求める教員数が少な過ぎる」、「教員研修を促すため、補助金の交付に研究紀要等を求めてもいい」などの意見が出された。

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