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記事2018年1月13日 2430号 (1面) 
文部科学省の平成30年度新規事業
次なる時代を切り拓く人づくりへ
遠隔教育やリカレント教育等調査研究

 昨年末に閣議決定された文部科学省の平成30年度予算案の中には数多くの新規事業が盛り込まれている。例えば、「統合型校務支援システム導入実証研究事業」「遠隔教育システム導入実証研究事業」「SNSを活用した相談体制の構築」などだ。そうした新規事業から、同省の次なる時代を切り拓く「人づくり」の具体的方向性をうかがうことができる。


安倍内閣の重要課題である「働き方改革」に関して、文科省も大きく舵をきり、平成30年度に働き方改革のための指導・運営体制構築を進める。具体的には専門スタッフ・外部人材の拡充を図るが、その中で新規事業としては、(1)スクール・サポート・スタッフの配置、(2)中学校における部活動指導員の配置、(3)学校給食費徴収・管理業務の改善・充実、(4)統合型校務支援システム導入実証研究事業がある。  これらは公立学校を対象としたもので、教員が指導や教材研究に注力できるよう、(1)は学習プリント等の印刷業務を卒業生の保護者らが担う。予算額は12億円、3千人を想定。国が3分の1、都道府県・指定都市が3分の2の補助割合。(2)は指導する部活動に係る専門的な知識・技能を有する人材4500人を手当てする。予算額は5億400万円。(3)は徴収等の業務を地方自治体に移管していくための課題の解決方法の研究等を行うもの。予算額は1800万円。(4)は校務の情報化を効率的に進めるため都道府県単位での「統合型校務支援システム」の共同調達・運用の促進に係る実証事業を行うもの。予算額は3億1100万円。  また、遠隔教育システム導入実証研究事業は、多様性のある学習環境や専門性の高い授業の実現等、児童生徒の学びの質の向上を図るための実証研究事業。就学人口の減少や過疎化で地域の学校の維持が困難になってきている中で遠隔教育システムの課題や効果等が明らかになる。  SNSを活用した相談体制の構築は、いじめ・不登校対策等の一環で新規に実施されるもので、5地域で相談体制を構築する。同事業に関しては政府の29年度補正予算案にも20億円(20地域)が計上されている。  リカレント教育に関しては、社会人や企業の学びに対するニーズを整理して、社会人が各大学、専修学校等における社会人向けプログラムの開設状況や、社会人の学びを支援する各種制度に関する情報に効果的にアクセスすることができる機会の創出に向けて、実践的な調査研究を行う。予算額は1100万円。  さらに少子化に対応した活力ある学校教育の推進に関して、高校における次世代の学習ニーズを踏まえた指導の充実事業を新たに実施する。予算額は7400万円。地理的要因等にとらわれず、多様かつ高度な教育を可能とする遠隔教育の導入をはじめとした優良事例の普及を図るとともに、定時制・通信制の特性を活かした効果的な学習プログラムのモデルを構築し普及を図る。  このほか、スポーツ関連予算では、障害者スポーツの振興体制の強化等を4800万円の予算で新規に立ち上げるほか、29年度中に作成する運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを踏まえ運動部活動に関する実践・調査研究を実施、各学校で持続可能な活動を目指す。

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