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記事2018年3月23日 2437号 (3面) 
日私教研委託研究員研究成果報告会開く
30人が1年間の成果を発表
生徒の学力意欲向上へ 授業改革等を研究

一般財団法人日本私学教育研究所(吉田晋理事長、中川武夫所長)は3月17日、都内の会館で平成29年度委託研究員研究成果報告会を開催した。この日の報告会は3月3日の第1回に次ぐ29年度2回目の報告会で、委託研究員30人のうち、15人が1年間の研究成果を発表し、報告会に出席の委託研究員や一般参加の教員等と質疑応答等を行った。報告会には2日間で、委託研究員と一般参加の教員等を合わせ100人近い教員らが出席した。

 3月17日に報告された研究のテーマは、「資史料を解釈する力を深める教育実践研究」(逗子開成中学・高校)や「高校生の論文作成における自己評価方法の構築」(中央大学杉並高校)、「中学校道徳教育へのTOK導入の有効性の研究」(立命館宇治中学・高校)、「オンライン英会話の授業導入における生徒の英語技能に与える効果の検証」(旭川明成高校)など、授業改革を目指したた研究がほとんど。授業でいかに生徒の学力や学習意欲を高めることができるか、研究を行った教員の取り組みや試行錯誤が報告され、期待した効果に届かなかった研究もあれば、新年度から学校のコア科目となった研究もあった。

 このうち立命館宇治中学・高校の西田透教諭の研究「中学校道徳教育へのTOK導入の有効性の研究」では、中学校の新学習指導要領で平成31年度から先行して実施される「特別な教科 道徳」が「考え、議論する道徳」への転換を打ち出したことから、国際バカロレア・ディプロマプログラムのコア科目であるTOK(知の理論、Theory of Knowledge)を用いた授業づくりに取り組み、「個人的な知識」と「共有された知識」の相違を認識することが多面的・多角的に物事を捉えていくことにつながるとの考えの下、テーマが変わっても常にほぼ同じ授業形式で思考に取り組んだ。テーマについては生徒たちに身近な、例えば「笑い」(ともすれば差別やいじめと隣り合わせ、笑えることと笑えないことの境界線)等を議論、加えて道徳的判断力に限定されない広い意味での思考力の育成にも取り組んだ。その結果、生徒の関心・思考力の向上が道徳以外の教科へも広がり、教員のスキルアップとチームワーク向上にもつながったという。こうしたことからTOK導入の有効性については一定の成果が出たと報告した。

 また、旭川明成高校の佐藤圭介教諭の研究「オンライン英会話の授業導入における生徒の英語技能に与える効果の検証」では、導入当初、オンライン英会話(インターネット通信を利用してフィリピン人講師と会話)では沈黙する生徒も見られたが、次第に生徒たちは伝える方法を理解し、英会話の時間がつらいということもなくなり、発話に興味を示す生徒が増加、検定試験や模擬試験でも英語力が大きく伸び、自前のイヤホンを使うこともあって隣の生徒の声を気にすることもなくなった、受験用教材としても使えるとした。オンライン英会話の決め手は、学校の授業に合わせて時間の融通が利くか、計画的に進められるか、教材、英語力に大きな差のある生徒への対応だと報告した。
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