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記事2018年4月23日 2440号 (1面) 
高等教育でアンケート結果 リカレント教育
約7割の企業が評価
文系学生の専門知識評価は低迷

一般社団法人日本経済団体連合会(榊原定征会長=東レ相談役)は4月17日、「高等教育に関するアンケート結果」を公表した。急速に進展する技術革新や経済活動のグローバル化等の中で、知の拠点としての高等教育の役割が非常に大きくなってきていることから、経団連会員企業等を対象に学生に期待する資質や能力、これからの大学に求めるあり方や規模、リカレント教育への期待等を尋ねた。アンケート結果によると、経団連会員企業の55・8%、非会員企業の13・1%が従業員を大学等に送り出しており、過去5年間に送り出した従業員の学修専攻分野は「経済学・経営学」が232社で群を抜き1位、また今後、従業員を送り出したい専攻分野(1位から3位まで回答)でも「経済学・経営学」がトップ(167社)を占めたが、次いで「情報・数理・データサイエンス」が2位(150社)、「IT関連」が3位(139社)となった。さらに大学に求める制度・環境に関しては、「社会人に配慮した時間帯での授業の開講」と「インターネットなどITを活用した授業の開講」が、3位以下を大きく引き離して1位、2位を占めた。


アンケートは昨年12月から今年2月にかけて実施、経団連会員企業258社(回答率19%)と24都道県の地方別経済団体に加盟する経団連非会員企業185社の計443社から回答を得た。アンケート結果の概要を紹介するとー。  産業界が学生に期待する資質、能力、知識=文系、理系を通じて、「主体性」が1位、「実行力」が2位で、次いで「課題設定・解決能力」、「チームワーク・協調性」「論理的思考力」「社会性」「倫理観」等が上位を占めた。ただし「専攻分野の基礎的知識」「専攻分野の専門的知識」は理系学生では期待値が高いが、文系学生に関しては低い順位となっている。  優先的に推進すべき大学等の教育改革=「イノベーションを起こすことができるリーダー人材育成への取り組み」が229社(複数回答)で1位だったが、経団連非会員企業では「地域活性化を担う中核的人材を育成するための地域大学等と地域企業との連携強化」が最も多かった。また経団連会員企業だけでは「日本人学生の海外留学奨励」が2位となった。  これからの大学のあり方、適正規模=「国立大学における機能分化を進め、大学ごとの特色を打ち出すべき」を支持した企業が243社(複数回答)で第1位だったが、経団連会員企業では「大学のグローバル化を進め、外国からの留学生の受け入れを増やすべき」が117社で2位だった。「地方大学の活性化をはかるために、都市部の大学の定員規制などを行うべき」を支持した経団連会員企業は19社と少なく、都市部の大学の定員規制に反対する経団連会員企業は68社で多かった。  大学等へのアクセス改善=産業界として主張すべき点では「成績要件をより重視すべき(奨学金・授業料減免)」が第1位(236社、複数回答)、経団連会員企業では「入学時は貸与型で、卒業までの成績によって給付型に転換する仕組みとすべき(奨学金)」が第2位。「大学間の公平性のため私立大学への補助を拡充すべき(授業料減免)は78社で「その他」を除いて最も低かった。  産業界が大学等に求めるカリキュラム=リカレント教育、社会人の学び直しで産業界が大学等に求めるカリキュラムでは「専門性」「最先端」「実習等実践的」がトップスリーで、「知識に基づいた深い洞察力を養うもの」「研究推進能力を身に付けられるもの」「基礎理論の研究・学修に重点を置いたもの」への期待は最低レベルだった。  リカレント教育を受けた人物に対する中途採用時の評価=中途採用時のリカレント教育に対する評価は、「大いに評価する」と「評価する」を合わせて、経団連会員企業、非会員企業とも約7割の企業が評価していた。評価する理由としては、「主体的に専門的な知識・技術を身に付けた者は就業意欲も高く評価できるため」の回答が多く見られ、反対に評価しない理由としては、「大学で学び直した人材が修得する専門性よりも、実務経験を通じて得た専門性の方が高い」との回答が多かった。

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