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記事2018年6月3日 2444号 (2面) 
高等学校学習指導要領改訂など議題に
現場の実践では課題浮上も
初等中等教育分科会

中央教育審議会の初等中等教育分科会(分科会長=小川正人・放送大学教養学部教授)は5月15日、東京・霞が関の東海大学校友会館で第117回会合を開いた。高等学校学習指導要領の改訂、SNS等での相談体制構築などを議題とした。  高校の新たな学習指導要領は2022年から年次進行で実施される予定で、小・中学校の学習指導要領と同様に「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」と「各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立」を特に重視したものとなっている。加えて、国語科における科目の再編、地理歴史科における「歴史総合」「地理総合」の新設、公民科における「公共」の新設、共通教科「理数」の新設など、教科・科目の構成の改善も図られる。  委員からは「幼稚園の教育要領から小・中学校そして高校の指導要領まで一貫して『育成すべき子供の姿』が明確になった」など高く評価する意見が出たが、新教科「公共」については「自治体や選挙管理委員会との連携で現実的な授業を行ってほしい」との意見があり、ICT教育の充実に関しては「ハード面の環境整備には公的な支援が求められるが、私立学校への支援は公立校よりも低く抑えられて不公平が生じている」との指摘が出るなど、現場での実践などを想定しての課題も浮かび上がった。  第2の議題は、SNS等を活用した相談体制の構築について。文科省のいじめ防止対策協議会が3月に、地方自治体による相談実施の際の留意点について最終報告をまとめている。受付時間は平日夜のほか、児童生徒の気分が落ち込みやすい長期休業明け前や入試時期前後、日曜日などを想定。相談員には臨床心理士や教員経験者以外にSNS世代の若者なども想定している。その他、相談者が自殺をほのめかしているなどの緊急時の具体的な対応要領も示している。  ある委員は、個人情報の保護に関する危惧から「相談者が直後に亡くなった、といった場合に相談内容は公開されるのか」と質問。文科省の担当者は「プライバシー保護には十分な対策を図るが、いざという場合は公開するという原則で進めている」と答えた。

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