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記事2019年12月13日 2496号 (1面) 
PISA調査の読解力不振を議論 
全教科通じての取り組み重要との意見など
初等中等教育分科会教育課程部会

中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会(部会長=天笠茂・千葉大学特任教授)は12月4日、文部科学省内で第10期第5回部会を開き、OECD(経済協力開発機構)が前日の3日に発表した生徒の学習到達度調査(PISA2018)の概要が文部科学省から報告されたほか、(1)基礎的読解力などの基盤的な学力の確実な定着に向けた方策、(2)教育課程部会におけるこれまでの検討の経過が議題となった。また耳塚寛明・青山学院大学コミュニティ人間科学部特任教授が「家庭の社会経済的背景(SES)が困難な児童生徒への支援」について、横浜国立大学の〓木まさき副学長が「PISA2018『読解力』調査結果を受けて」と題して発表を行った。  PISAの2018年調査結果については、「読解力」が2018年調査の中心分野であり、わが国のスコアが低下したこともあり、同調査での読解力の定義や調査結果の分析が説明された。それによると、スコアの低下はコンピューター上での長文読解の不慣れなど生徒側の要因、問題のテキストの種類や翻訳の影響など問題側の要因などさまざまなことが複合的に影響したこと、その中でも「デジタルテキストの質、信ぴょう性を評価する」、「矛盾を見つけて対処する」問題の正答率が低かったこと、自由記述形式の問題で自分の考えを、根拠を示して説明することに引き続き課題があり、誤答には自分の考えを他者に伝わるように記述できないなどの傾向が見られた、とした。また、読書活動と読解力の関係については、日本を含めOECD全体の傾向として、本を読む頻度は2009年と比較して減少傾向であること、フィクション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒の読解力の得点が高いことを紹介。  生徒のICT活用に関する調査では、日本は学校の授業(国、数、理)におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国の中で最下位だったこと、学校外での平日のインターネットの利用時間が4時間を超えると読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーとも平均得点が低下することなどを報告した。  こうした説明に委員からは、「(授業が)社会で起こっていることと結び付いていない」、「世界標準の読解力はこれだとアピールする必要がある。クリティカルな評価ができないとネット社会では深刻。さまざまなテキストに触れる機会が増える中で質の保証されたデジタル教科書が必要」、「探究型の学習を重視している国が成績上位に来ている。読解力の向上には国語だけではなく全教科を通じて取り組んでいくことが重要」、「読解力の幅が広いことについて認識を深めるべきだ」などの意見が上がった。  このほか耳塚教授は、SESが高い児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向にあるものの、家庭のSESが低いからといって必ずしも全ての子供の学力が低いわけではなく、学習時間は不利な環境を克服する手段の一つで、特に家庭における読書活動が子供の学力に最も強い影響力を及ぼすなどと指摘した。  また〓木副学長は、(1)国語の授業等を通して生徒の興味・関心がノンフィクションや新聞などを含むさまざまなテキストに向かうよう読書指導等の在り方を改善する、(2)さまざまな文章を批判的に読み、適切な根拠を用いて自分の考えを表現する指導を充実する、(3)特定のテーマ等についてインターネットで検索する経験を増やすなど五つの改善策を提案した。このほか同部会の論点取りまとめ(素案)を審議した。

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