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記事2019年12月23日 2497号 (1面) 
令和2年度政府予算案決定 修学支援措置を大幅拡充 
私立高校等授業料実質無償化

政府は令和元年12月20日、令和2年度予算案を閣議決定した。文部科学省の一般会計予算は5兆3060億2400万円で、前年度比0・003%の減額。ただし私学に関わりの深い「幼児教育・保育の無償化」(予算額1878億円)、高等教育の無償化策「高等教育の修学支援新制度」(同4882億円)の予算を別途内閣府が計上、修学支援に大きな重点を置いた予算案となった。


そうした中で私学助成関係予算の総額は4106億円となり、前年度比で184億円減額した。大幅な減額は、主に「私立大学等経常費補助」の前年度比182億円の減額によるもので、特別補助の授業料減免制度の対象としていた学部学生が高等教育の修学支援新制度に移行し、私学助成予算から関連経費が抜けたためだ。
 令和2年度の私立大学等経常費補助は総額2977億円となった。内訳は、一般補助が2743億円で、概算要求が満額認められたことや前年度比31億円の増額は過去10年ではなかったこと。特別補助は前述の理由等により前年度比213億円減の234億円となった。その中の私立大学等改革総合支援事業は114億円の予算(前年度比3億円減)で、支援対象の4タイプの事業は、令和元年度と比べて、タイプ1「『Society5・0』の実現等に向けた特色ある教育の展開」の選定校数が減ったものの、110校程度を確保、タイプ2「特色ある高度な研究の展開」と、タイプ4「社会実装の推進」はそれぞれ選定校数が増え、50校程度、95校程度となる。タイプ3「地域社会への貢献」は165校程度で令和元年度と同数。特別補助交付額はタイプ1、3、4が1校当たり1千万円程度、タイプ2は2千万円程度で、これらも前年度と同額。
 また、大学院等の機能の高度化への支援事業は前年度比5億円減の126億円となった。若手研究者や女性研究者らの環境整備の促進や優秀な大学院生への経済的支援、企業、公的研究機関、他大学をはじめとする他機関との共同研究等の促進のほか、短期大学および高専等の機能の高度化に資する支援も実施する。
 私立学校に私学助成を行う都道府県に対する補助の「私立高等学校等経常費助成費等補助」は、子ども・子育て支援新制度移行分を含めて、1029億円に増額した。前年度比7億円の増額。
 内訳は、一般補助が866億円(前年度比5億円増)、特別補助が133億円(前年度と同額)、特別支援学校等の教育の推進に必要な経費を支援する、特定教育方法支援事業は30億円(2億円増)で、生徒等1人当たり単価は前年度比1・1%増額している。ちなみに高校(全日制・定時制課程)の生徒1人当たり単価は5万6223円、中学校は4万9210円、小学校は4万7660円、幼稚園が2万4212円など。ただし広域通信制高校の単価は据え置きの2万9550円。
 特別補助133億円の中の教育改革推進特別経費は前年度と同額の21億円。新たに独立補助メニューとして安全確保の推進が設けられ、スクールバスにおける警備員(ガードマン)等の配置、登下校時における交通安全指導員等の人員配置、児童生徒等を対象とした講習会(防犯、防災、交通安全)の実施、地域住民や地域関連機関との合同防犯訓練等の実施が想定されている。予算規模は3億円。1校当たりの国の補助単価は30万円。
 一方、私立学校施設・設備の整備の推進に関しては、前年度比9億円減の100億円を計上している。そのうち47億円が私立大学等も含めた校舎等の耐震化等促進のための予算で、内訳は、耐震改築(建替え)事業が13億円、耐震補強事業が28億円、非構造部材の落下防止対策等その他耐震対策事業が6億円。耐震改築(建替え)補助は令和2年度で終了するため、文科省は令和3年度概算要求で耐震改築補助の継続を要求する方針。
 その他、令和2年度予算では、臨時・特別な予算として私立学校施設整備に43億円が計上されている。また、令和元年度補正予算でも私立学校施設等の整備に50億円が盛り込まれている。
 施設・設備整備関係予算100億円のうち、残る53億円は教育・研究装置等の整備のための予算で、この中には私立高等学校等ICT教育設備整備費が盛り込まれている。予算額は残念ながら前年度比13億6千万円減の10億円となった。次期学習指導要領の全面実施(中学校が令和3年度、高校が令和4年度)を控え、アクティブ・ラーニング等を推進するため、私立高校等のICT環境の整備を支援するのが目的。そのほか私立大学等の多様で特色ある教育研究の一層の推進を図るため、私立大学等の装置・設備の整備を支援する予算として32億円が計上されている。
 日本私学教育研究所への文科省の補助金は前年度比17万円増の2018万9千円となった。  このほか日本私立学校振興・共済事業団による融資事業もある。令和2年度の貸付見込額は625億円。そのうち財政融資資金は291億円。
 文部科学省の令和2年度予算案では、私立高等学校等授業料の実質無償化が実施される。そのための予算として4247億9500万円が計上された。前年度比539億円の増額。高校等就学支援金の支給上限額が私立高校の平均授業料を勘案した水準(39万6千円)まで引き上げられ、しかも実質無償化の対象が年収590万円の世帯まで拡大される。590万円から910万円まではこれまで通り年額11万8800円が支給される。地方自治体によってはさらに支給上限額の上積みや対象の拡大の動きも見られる。ちなみに令和2年7月からは課税所得を基に各種税額控除の影響を受けない基準により判定される。
 また、大学への編入学基準を満たす課程または国家資格者養成課程を有する高校および特別支援学校の専攻科(特別支援学校は障害者の就労支援に資する教育課程を含む)に通う低所得世帯の生徒に対して、新たに都道府県が支援事業を行う場合、国は都道府県に所要額を補助(国の補助率は授業料が2分の1、授業料以外の教育費が3分の1)することになった。予算額は2億4500万円で、補助対象上限額は年収270万円未満(住民税非課税世帯)の私立学校生の場合で、授業料42万7200円、授業料以外3万8100円、合計46万5300円。年収270万円から380万円までの私立学校生の場合では、補助対象上限額は、授業料21万3600円。授業料以外への補助はない。
 低所得世帯の授業料以外の教育費負担を軽減する、高校生等奨学給付金は、前年度比3億2100万円減の136億1000万円となった。変更点は、(1)非課税世帯(全日制等)(第1子)の給付額の増額で、具体的には、私立学校生では給付額をこれまでより5千円増やし年額10万3500円とする。また(2)専攻科に通う生徒へ新たに給付金を支給する。
 私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援実証事業(2017年度〜2021年度)の予算額は前年度と同額の9億9500万円。制度内容に変更はない。

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