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記事2019年3月13日 2470号 (1面) 
日本のデジタル教育世界から2周遅れ
規制改革推進会議が最新技術活用した教育で意見聴取
慶大教授らが超個別学習提言  通信制高校の積極活用も

政府の「規制改革推進会議」(大田弘子議長=政策研究大学院大学教授)は2月26日、都内で第41回会議を開き、中村伊知哉・慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、石戸奈々子・NPO法人CANVAS理事長(慶應義塾大学教授)、佐藤昌宏・デジタルハリウッド大学大学院教授の3人から最新技術を活用した教育の推進に関して課題や現状等を聴取した。この中では3人の有識者は日本のデジタル教育は世界から2周遅れで大きく立ち遅れていることなどを指摘、今後は、学年、学校等教育機関の枠を超える学習環境の構築やブロックチェーン技術で学習履歴を蓄積することによる試験の不要化、AIによる教科横断の超個別学習を実現するカリキュラム編成を目指すべきこと、高校の通信制と全日制の垣根を低くした上で、70年前の「通信」の概念をEdTechでアップデートして個別学習指導に活用すること、通信制の中学校の創設の検討などを提案した。同会議は教育におけるAI、ビッグデータなどの最新技術の活用を第3期後期の重点事項の一つにし、3月11日、都内で公開討論会を開くことにしている。


この中で石戸・中村両教授は、まず、今すべきことはデジタル教育の環境整備だとし、教育現場の判断でデジタル教科書を全面的に使用できるようにすることなどを挙げ、次にすべきこととしてはスマート教育の環境整備、具体的には生徒等が自分の端末を持ち込んで使えるようにすること、学校のクラウド化の推進、参考書やドリル、教材の著作権処理の課題解決などを、今後すべきこととしては超スマート教育の推進を挙げた。超スマート技術は学校の教科、(入学)試験、学習内容、環境、評価を問い直す変化をもたらす可能性があると指摘、これまでの検定や学習指導要領を問い直すことになるとした。その上でデジタル教育の政策的順位を上げ、予算の集中投下を訴えた。  教員に関しては、これまでやっていたような知識伝達は機械に任せ、ファシリテーターやコーチング、コーディネーターになること、企業人や社会人が学校で正式に教えられる仕組みづくりが必要だとした。  佐藤教授は、EdTechが進展すると、学びの個別最適化、学習者中心の学びが可能となり、学習履歴が可視化・検証可能となるとし、クラウド上につながった学習ログの共有で、学校で学んだ状態を持ち越しながら塾で同じようにクオリティの高い指導を受けることができることだなどと説明。また学習ログによる定点観測である時点で観測する試験という考え自体がだんだんと形骸化すると考えている、とした。また、通信制高校のイノベーションが全日制・通学制のアップデートにつながるとして、LMS (Learning Management System)やスタディログを活用して生徒等の個別学習計画をつくり、学習計画で教育の質を担保することができ、教員の遠隔地からの指導や支援、産休・介護・休職中の教員の働き方改革にもつながっていくと指摘した。  さらに社会性や情操教育、コミュニケーションについてもテクノロジーで比較的にできるようになってきたとの分析を示したが、時間的な制約もあり、それについては十分な説明は行われなかった。このほかオンライン型のPBLもできるのではないかと思っている、とした。その上で、高校の通学制に関して、例えば午前中は対面授業の有用性を活用しコミュニケーションや社会性などを学び、午後はEdTechを活用した個別学習(例えば塾での学習、ホームスクーリング、大学での聴講)ができるとし、こうした個別学習は自分の学びを管理できる人に限り、それができない人にはこれまで通り通学による学習にすべきだとした。教員の役割に関しては生徒のモチベーションの向上や気づきの提供など活躍の場はさらに広がるとの考えを示した。

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