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記事2019年3月13日 2470号 (1面) 
文化庁、授業目的公衆送信補償金等指定
補償金で許諾不要学校の事務負担減るも
学生等1人当たり額、焦点に

昨年の通常国会で成立し、2018年5月25日に公布された「著作権法の一部を改正する法律」(今年1月1日施行)の中には「教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備」(第35条等関係)の項目が含まれていた。  この項目は、ICTを活用して教育の質向上を図るため、小・中・高校、大学等における授業や予習・復習用に教師が他人の著作物を用いて作成した教材を、ネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について、ワンストップの補償金を支払えば個々の権利者に許諾とライセンス料を支払う必要がなくなるという内容の改正だ。ただし同項目については公布日(昨年5月25日)から起算して3年を超えない範囲内に政令で定める日が施行期日となっている。  教育機関の授業の過程における著作物の利用は、(1)対面授業のために複製すること、(2)対面授業で複製等したものを同時中継の遠隔合同授業に公衆送信することは無許諾で可能。しかしその他の公衆送信、例えば対面授業の予習・復習用の資料をメールで送信、オンデマンド授業で講義映像や資料を送信、スタジオ型のリアルタイム配信授業での著作物の利用には許諾が必要となる。ここを一括的な補償金支払いで、その他公衆送信全てを無許諾で利用できるようにするのが今回の「教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備」。そのワンストップの補償金を支払う団体が2月15日、文化庁長官から指定された。指定されたのは東京・港区北青山に事務所を構える一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(略称=SARTRAS)で、代表理事は弁護士の土肥一史・吉備国際大学大学院知的財産学研究科特任教授が務めている。授業目的公衆送信補償金等の管理団体としては唯一、文化庁から指定された団体だ。  同社団の社員は、新聞教育著作権協議会(一般社団法人新聞著作権管理協会で構成)、言語等教育著作権協議会(公益社団法人日本文藝家協会などで構成)、視覚芸術等教育著作権協議会(公益社団法人日本漫画家協会などで構成)、出版教育著作権協議会(一般社団法人日本楽譜出版協会などで構成)、音楽等教育著作権協議会(一般社団法人日本音楽著作権協会などで構成)、映像等教育著作権協議会(日本放送協会などで構成)の6分野の協議会(計21団体)から構成されている。  同協会では学校が生徒1人当たりで補償金を支払うには、事前の予算計上が必要となるため、今年中頃には補償金の最終的な1人当たりの額を明らかにする予定。  補償金額は教育関係団体から意見聴取した後、文化庁に申請、文化審議会著作権分科会の審議を経て、文化庁から認可される仕組み。現在、同協会は2020年4月からの補償金の収受開始を目指している。  学校側からすると、「許諾を得ようと思っても、一部の分野を除き、権利者団体による権利の集中管理体制が整っておらず、著作権者の捜索および権利処理に相当の負担がある」、「権利制限の対象になるかの判断がつかない場合、当該著作物の使用を差し控えるという実態がある」などの声があったため、今回の改正は負担軽減に結び付く。一方、生徒、学生1人当たりの補償金額によっては学校側に大きな負担となる。  補償金額は、教育関係者も参加した教育利用に関する著作権等管理協議会のフォーラム(専門フォーラム1)で検討されており、2月19日の第3回会合で包括使用料について学生等1人当たり大学等が800円、高校等が500円、中学校が300円、小学校が200円(消費税は別途加算)、専修学校や各種学校は主な年齢層で判断が示された。3月中旬には教育関係者からこの金額について意見聴取する予定。このほかライセンス環境の整備、法解釈に関するガイドラインの整備、教育機関における研修・普及啓発に関する専門フォーラムが動いており、今年度末にはガイドラインのフォーラムを除き検討が終了する予定。


 

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