こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2019年6月23日号二ュース >> VIEW

記事2019年6月23日 2480号 (1面) 
教育を、多様性追及できる仕組みに改革
「骨太の方針」2019を閣議決定
初等中等教育改革など実施
私立高校授業料実質無償化来年4月から

政府は6月21日の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2019〜『令和』新時代:『Society5・0』への挑戦〜」、「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ・令和元年度革新的事業活動に関する実行計画」、「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」「規制改革実行計画」を決定した。このうち「経済財政運営と改革の基本方針」は、いわゆる骨太の方針と呼ばれる政府の財政運営や次年度予算編成の基本的な方針となるもので、その中では人づくり革命を断行し、従来の型にはまった教育を、多様性を追求できる仕組みに改革する、などとしている。


具体的には、初等中等教育改革、私立高等学校の授業料の実質無償化、高等教育の無償化、幼児教育・保育の無償化、大学改革、リカレント教育等を実施するとしており、ほかに教育関連事項では、外国人材の受け入れとその環境整備として留学生・技能実習生の在留管理、留学生の国内就職促進を推進する、としている。このうち初等中等教育改革では児童・生徒に個別最適化された教育を効果的・効率的に実現するため、希望する全ての小・中・高校等で遠隔教育を実施できるよう、国立情報学研究所が運用するSINETの活用モデルの提示をはじめとした教育の情報化を推進。学校ICT環境の整備状況の地方自治体間のばらつきの是正に努めつつ、個人情報の取り扱いに適切に配慮した上で教育データのデジタル化・標準化を進める。  高校生の約7割が学ぶ普通科の類型化、高大連携、地域人材やグローバル人材の育成など多様な高校教育を構築する。教育課程、教員養成・免許・採用・研修制度等について総合的な検討を行い、2020年度中に結論を得るとしている。  また、学校における働き方改革を実現するため、適正な勤務時間管理の徹底や業務の効率化・精選などの施策を推進、教員の勤務時間の1年単位の変形労働時間制の導入に向けた取り組みを推進する、としている。  私立高校の授業料の実質無償化については、2020年4月から、安定的な財源を確保しつつ、高校等就学支援金の支給上限額を引き上げることにより、年収590万円未満世帯を対象に実現する、としている。  大学教育に関しては、産業界と連携して課題発見・解決力、論理的思考力など、Society5・0時代に求められる能力の育成に向けた取り組みを強化、実務家教員の活用による社会の現実ニーズに対応した教育プログラムを実現する。  科学技術・イノベーション人材を育成するため、「AI戦略2019」に基づき、数理・データサイエンス・AI教育の抜本的な充実などSTEAM教育の充実等を図る、としている。  また、大学・大学院で文理を横断したリベラルアーツ教育や社会のニーズに応える博士など高度人材の育成を進める。  そのほか、高専の機能の高度化、専門職大学や専門学校等における企業等と連携した実践的な職業教育、組織の枠を越えた学位プログラムの制度化により広さと深さを両立した新たな教育プログラムの推進、大学や高専等の国際化、私立大学における学部単位での事業譲渡の円滑化や合併の促進、国公私立の枠を超えた大学等の連携を可能とする「大学等連携推進法人(仮称)」の創設など大学の連携・統合を進めるとしている。  リカレント教育に関しては、社会人・女性・高齢者等のニーズに対応して大学や専修学校等のリカレント教育を拡大し戦略的な広報の実施等により2019年10月から拡充される教育訓練給付の活用を進め、3年以内に教育訓練給付受給者の倍増を目指している。  また、社会人学生が柔軟に履修期間・内容を選択できるように早期卒業・長期履修制度や単位累積加算制度に学位授与を行うための方策を検討し大学・大学院での学位取得の弾力化を進める。  留学生関連では、在籍管理の適正化のため、日本語教育機関の告示基準を見直し、不適正な留学生の受け入れや在留管理が懸念される大学等に対しては、厳正な措置を講じることができるよう制度を見直し、留学生の在留資格審査を強化する。  しかし同時に、現在32・4%(平成29年度)にとどまっている外国人留学生の国内就職について支援を推進する。大学等に、オフィスワーク以外の幅広い就職先を認めるための在留資格・特定活動制度の普及を図る。  このほか就職氷河期世代(30代半ば〜40代半ば)で現在も不安定な仕事に就いている、あるいは無業などの状態の約100万人について様々な支援により3年間で30万人の正規雇用者の拡大を目指す。また、東京一極集中の是正、地方への新たな人の流れの創出のため、「地域連携プラットホーム(仮称)」を構築し、地方大学改革を推進し、地域の求められる人材育成機関としての高校、高専、専修学校、大学の機能を強化する。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞