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記事2019年8月3日 2484号 (1面) 
中教審特別部会等が合同会議 
小学校での教科担任制等で意見交換

中央教育審議会初等中等教育分科会の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」、「教育課程部会」、「教員養成部会」は7月24日、文部科学省内で合同会議を開いた。合同会議では、今年4月に大臣から諮問のあった小学校での教科担任制やICT等の先端技術を活用した教育の在り方について事例紹介や意見交換が行われた。  小学校の教科担任制について、最初に文科省事務局より最近の実施状況について説明があった。教科別では「音楽」が最も多く5・6年生では5割以上の学校で実施されており、以下「理科」、「家庭」の順に多かった。  事例紹介では、まず同特別部会委員の松尾弘子・兵庫県姫路市立白鳥小学校校長が、同県で導入している「兵庫型教科担任制」を紹介。高学年の主要科目で学級担任を交換して授業を行う教科担任制と、クラスを二つに分けるか2人の教員が指導する少人数授業を組み合わせたもので、いろいろな教員に相談でき気持ちが楽になったとの児童の声や、児童の変化に気付きやすくなったという教員の声が紹介された。加えて不登校の増加率も導入前より1割ほど減少した。  続いて同県香美町教育委員会の藤原健一教育長が「香美町学校間スーパー連携チャレンジプラン・学力向上ステップアップ授業」を紹介。小規模小学校をグループにまとめ多人数での授業を実施し、多様な形態や意見で新たな学習効果を期待しての授業づくりを複数の教員が行う「わくわく授業」と、逆に少人数に分けてきめ細かな指導を行い、つまずき克服を目指す「わかった授業」を導入。保護者へのアンケートで「意義のある取り組みだと思う」と答えた保護者が9割に上ったという結果を報告した。  その後横浜市教育委員会の鯉渕信也教育長から「チーム学年経営」の紹介があった。同市立小学校では学級担任がさまざまな課題を抱えている現状を改善するため、学年で授業を交換、または特別活動や道徳以外の教科を分担制にするといったチーム学年経営を導入。教職員対象のアンケートの結果から、担当教科の教材研究などに集中でき授業の質が上がり学力向上につながっている、また学級担任の負担が軽減されている、といった利点が得られた、と報告。  教科担任制の取り組みに委員からは「授業交換はスムーズにできるのか」「(来年度からの)外国語授業の導入にはどう対応しているか」といった質問があり、それぞれ「交換を行った教科は次年度その逆をやってもらう」(鯉渕教育長)、「中学校の教員を小学校に派遣するなど交流を活発にしている」(藤原教育長)と答えた。  先端技術を活用した教育では、最初に同特別部会委員の神野元基・株式会社COMPASS代表取締役CEO(最高経営責任者)が、同社のタブレット教材を使って東京都千代田区立麹町中学校で行っている経済産業省の「未来の教室」実証事業について紹介。数学の授業で道具を使わず学習でき、その結果、授業時数が短縮でき次学年の単元を前倒しで行うなど時間を創出できるようになったことや、生徒が授業前から教材を使い始め活発に質問するようになったことなどを報告した。  続いて同特別部会委員の毛利靖・茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校校長が同校のICT活用について紹介。経験者が少ない小学校の担任全員が各教科でプログラミングを取り入れるなど、開校して2年の公立学校でも先進的なICT教育が実現できたと紹介。またクラウドを使ったeラーニングによって、特別支援学級での個別学習や欠席・休校時での自主学習での活用を目指しているとも述べた。  先端技術を活用した取り組みの紹介に委員からは「教員研修などの自治体の支援はどうなっているのか」「学年を超えて学習を進めていくのは問題ないのか」と質問があり、それぞれ「昨年度から県では全ての担当者を対象とした研修会を行っている」(毛利校長)、「学習指導要領においても柔軟な対応は可能としているが、今後の審議事項として中教審で議論を深めてもらいたい」(文科省事務局)と答えた。

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