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記事2019年9月13日 2487号 (1面) 
中央教育審議会教育課程部会でSTEAM教育議論
3人の有識者国際的動向等を報告
韓国では2011年に教育改革実施

中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会(部会長=天笠茂・千葉大学特任教授)は9月4日、文部科学省内で第112回会合を開いた。「STEAM教育について」を議題とし、3人の有識者が発表を行った。
初めに、国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部の松原憲治総括研究官が資質・能力の育成を目指す教科横断的な学習と国際的な動向を報告した。米国では2013年に策定された「次世代科学スタンダード(NGSS)」により、科学の探究と同様にエンジニアリングの活動を重視した「STEM教育」を促進している。また韓国では2011年にSTEAM教育に力点を置いた教育改革を実施している。一方、国内での実践事例としては「総合的な学習の時間」の実地調査に際して、事前の探究活動に理科(天気)、社会(農業)、保健(健康)の視点から、取り扱う内容や学習方法に工夫を加えた埼玉県立川越初雁高等学校等の実践を紹介した。
 STEAM教育の強みとしては地域住民との交流の場や学校全体の仕組みとして機能する可能性を挙げた。またSTEAM教育の視点で扱う学習課題や問いは、思考判断、意思決定、価値、個人的または社会的判断等を含んでいると報告した。
 続いて、國學院大學人間開発学部初等教育学科の田村学教授が「総合的な探究の時間」を充実させるための観点から報告。教育課程を編成する際の中核として位置付け、カリキュラム・マネジメントを推進していくことや、教科間の関連を見えやすくする単元配列表の設定の必要性等を挙げた。最後に、文部科学省初等中等教育局の長尾篤志主任視学官が次期学習指導要領からの新科目「理数探究」の充実とSTEAM教育について報告した。現行学習指導要領では、生徒の、数学と理科の分野における探究的な学習を中核に据えた科目の履修率は極めて低い状況にある。そのため、長尾主任視学官は、「理科課題研究」や「数学活用」の推進を、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校や理数科を設置する学校に加えて、普通科(特にSSH指定校以外の学校)へ拡大していくこと等を提案した。

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