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記事2019年9月13日 2487号 (1面) 
中央教育審議会 先端技術を効果的に活用した教育の在り方など議論 
新時代の初中教育の在り方特別部会開く 

中央教育審議会初等中等教育分科会の新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会(部会長‖荒瀬克己・大谷大学文学部教授)は9月4日、文部科学省内で第3回会合を開いた。ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方などについて意見が交わされた。
 前半はICT・先端技術を活用した教育について、委員の堀田龍也・東北大学大学院教授より発表が行われ、現状の学校現場はICT環境整備などの情報化が諸外国と比べ致命的に遅れていることが述べられた。例として、一般社会では同一の購買・予約サイトで必要事項を1回入力すればサイトのデータベースに登録され、その後は自動的に反映される上必要に応じてフィードバックも行われるのに対し、学校現場では家庭環境調査票などに保護者が手書きし、教員がパソコンに手入力し学校で保管、進級時は保護者が修正事項を再度手書きし教員が再度入力、という状況であると話し、非常に現実離れしておりこのままではAIなど先端技術の恩恵も受けられなくなると指摘した。
 その上で、まずはICTの浸透で人々の生活をより良い方向に変化させるという「デジタル・トランスフォーメーション」の概念を学校現場で推進すべきだとし、具体策として児童生徒1人1台の端末整備を急ぎ学習道具としてのICT機器が活用できるよう国が支援することなどを挙げた。
 堀田氏の発表にその他の委員からは「基盤整備は補正予算を加えるといった誘導策がなければ全国に普及しないのではないか」、「全国一律の整備とはいかずマイナスからのところもあるのでその配慮をお願いしたい」といった意見があった。
 後半は主に小学校における教科担任制について意見や提案が出され、委員からは「中学校に入って初めていろいろな先生により多様な学びに出合うが、今の子供たちの発達や社会の様子を考えると小学校高学年くらいから教科担任制を導入するのは、むしろ多様な学びに出合える良い機会」、「教員が専門性を身に付けるための研修や、それが身に付いたかどうかの評価を行う体制を構築する必要があるだろう。予算の確保も含めこの点に力強く踏み込んでほしい」などの発言があった。

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