令和4年度私立大学等経常費補助金855校に総額約2,980億円交付
私学事業団が交付状況を公表
大学1校当たり4.8億円
未完成や管理運営不適正等で68校が補助金不交付
日本私立学校振興・共済事業団(福原紀彦理事長)は、このほど令和4年度の私立大学等経常費補助金の交付状況を公表した。それによると私立大学、私立短期大学、私立高等専門学校計923校のうち855校に総額2980億746万4千円が交付された。残りの68校は別掲の表の通り、未完成、募集停止、管理運営不適正等により補助金が不交付となった。
私立大学等経常費補助金は私立学校振興助成法等を法的根拠に、私立大学等の教育研究の維持向上、学生の修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性向上のため、国が財政的支援を行っているもので、私立学校にとって基幹的な補助金。同補助は教職員数や学生数等に所定の単価を乗じて算出した基準額を教育研究条件の状況に応じて傾斜配分する「一般補助」と教育研究に関する特色ある取り組みに応じて配分する「特別補助」がある。
交付総額2980億746万4千円の内訳は、一般補助が2766億2422万3千円、特別補助が213億8324万1千円。特別補助の交付状況は、(1)成長力強化に貢献する質の高い教育(交付学校数619校、交付額61億3525万7千円、以下同様)、(2)社会人の組織的な受け入れ(177校、3億8382万2千円)、(3)大学等の国際交流の基盤整備(189校、27億4706万3千円)、(4)大学院等の機能の高度化(655校、119億2986万円)、(5)東日本大震災からの復興支援(7校、1億4778万6千円)、(6)令和4年台風第8号、第14号・第15号からの復興支援(25校、3945万3千円)で、交付学校実数は773校。
前年度と比べ一般補助が62億6305万7千円増えた一方、特別補助は7億6055万9千円減額となった。
学校種別の補助金交付状況は別掲の表の通りだが、補助金の約95%が大学に交付されている。1校当たりの交付額は大学が4億8581万5千円、短期大学は5389万3千円、高専は1億1303万6千円。学生1人当たりでは大学が14万2千円、短大が15万円、高専が13万8千円。
管理運営不適正によって5大学・短期大学に補助金不交付の措置が取られたが、そのほか3大学に対して補助金の50%あるいは25%の減額措置が取られている。
補助金の交付状況を大学、短大、高専別に見ると、大学では補助金額が最も多かったのは早稲田大学で平成28年度から7年連続。2位が慶應義塾大学などトップテンの顔触れは、前年度と比べほとんど変わっていないが、東京理科大学が前年度の19位から補助金額を約9億円伸ばし10位に入っている。
短大に関しては、仙台青葉学院短期大学が2年連続で最も補助金額が多かったが、トップテンの顔触れを前年度と比べると、豊岡短大が10位から3位に、別府大学短大部が15位から7位に、鹿児島女子短大が11位から8位に入っている。高専はもともと私立の高専が少なく、補助金が交付されたのは2校。大学に対しては平均で約5億円弱の補助金が交付されているが、私大の経常的な経費に占める補助金の割合は年々低下、今は10%程度、その分、保護者や学生の大きな負担となっている。