教育未来創造会議が第二次提言まとめる
日本人学生の海外留学50万人、外国人留学生受け入れ40万人
教育の国際化等で高度専門人材育成確保へ
岸田文雄総理が議長を務める「教育未来創造会議」は4月27日、総理官邸で第6回会議を開いた。この日は同会議の第二次提言案の検討を進めてきたワーキンググループの清家篤座長(日本赤十字社社長、元慶應義塾塾長)が提言案の概要を説明、同会議構成員(閣僚や有識者)の了承を得て、第二次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ〈J―MIRAI〉」が取りまとめられた。第二次提言について岸田総理は、「新しい資本主義を実現するためには、人への投資を一層進め、世界最先端の分野で活躍する高度専門人材を育成・確保するとともに、多様性と包摂性のある持続可能な社会を構築することが必要不可欠。このため、政府として2033年までに日本人学生の海外留学生数50万人、外国人留学生の受け入れ数40万人の実現を目指すこととし、この実現に向けて、日本人学生の中長期の海外派遣の拡大、有望な外国人留学生の受け入れを進めるための環境整備、中学・高校段階からの国際交流の推進、在留資格の見直しや企業への就職円滑化の促進、国内大学等の国際化や、外国人材の魅力的な教育環境整備等に取り組む。特に、日本人留学生の中長期の海外派遣を中心に、優秀な日本人学生の海外派遣を大幅に拡大する構造的・抜本的な方策を実施するとともに、日本人留学生への経済的支援も充実していく」と語っている。施策の工程表を永岡桂子・文部科学大臣兼教育未来創造担当大臣が中心となって今年夏頃までに作成する。
2033年までに実現する日本人学生の派遣目標(50万人)は、コロナ前(2019年)の約2・3倍の水準。目標数の内訳は、大学・専門学校等では、学位取得等を目的とする長期留学者数が15万人、協定等に基づく中短期の留学者数が23万人、高校等では研修旅行(3カ月未満)が11万人、留学(3カ月以上)が1万人。
また外国人留学生の受け入れ・定着40万人(コロナ前の約1・3倍の水準)の目標値の内訳は、大学・専門学校・日本語学校等で38万人、高校等で2万人としている。
このほか教育の国際化に関しては、大学等で英語のみで卒業・修了できる学部をコロナ前の86から200に拡大、研究科に関しては276から400に拡大する、としている。中学・高校では英語で複数教科の授業を受けられる高校(コース等を含む)数を50から150に3倍増し、オンライン等を利用して国際交流を行っている学校の割合を20%から100%にするのが目標。
外国人留学生の受け入れに関しては、優秀な学生の早期からの獲得強化に向けたプログラム構築、国費留学生制度の地域・分野重点化の見直し、留学生の授業料設定柔軟化、定員管理の弾力化、キャンパスの質および魅力の向上等を提言。
その一方で、適切な在籍管理、技術流出防止対策の徹底・強化のため、在籍管理非適正大学等名の公表、在留資格「留学」の付与停止、私学助成の厳格な対応などの方針も打ち出している。
留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備では、通年・秋季採用、インターンシップ等による多様な選考機会の提供促進、高度外国人材活躍促進プラットフォームにおける中小・中堅企業の外国人材受け入れに係る課題解決に向けた伴走型支援の実施、在留資格制度の改善では質の高い専門学校認定制度を創設、その卒業者等の在留資格の運用見直し、教育の国際化では国際化を先導する大学の認定制度の創設、国際的な中等教育機関の整備推進・運営支援、日本語教育機関の認定制度創設等による質の維持向上、国内大学の海外分校や高専を始めとする日本型教育の輸出推進を提言している。