今後の医学教育の在り方に関する検討会が初会合

大学病院の医学研究教育充実策等検討

医師の時間外労働規制来春から実施に合わせて

文部科学省の「今後の医学教育の在り方に関する検討会」の第1回会合が5月26日、同省内で開かれた。委員は17人、座長に永井良三・自治医科大学長が就任した。

同検討会は、2024年4月より医師の働き方改革の一環として時間外労働規制が始まるのに合わせて、研究・教育にかける時間の割合が最も少ない保険分野(医師)に適切な処遇で地域医療体制を確保しつつ、わが国の医学・医療の発展を支える大学病院の医学研究・教育の充実・強化を図るのが目的。

我が国の教育、研究の主力を将来担う助教の15%は現在、全く研究を行っておらず、また約50%は週当たりの研究時間が5時間以下にとどまっており、業務時間の約71%が診療の時間となっている。それを2036年度には業務時間に占める診療時間の割合を50%に低減、教育時間+研究時間の割合を30%強に拡大するのが目標。残りは、外勤時間とその他。

さらに大学病院は地域医療提供体制の維持に大きく貢献、平成31年1月時点で私立大学29大学から4279の医療機関に1万5685人の医師を常勤医師として派遣している。こうした大学病院の現状や検討事項案が同省から説明された。検討課題案として挙げられたのは大学医学部・大学病院の現状を踏まえ、医学教育・研究を維持発展させる環境整備。医師以外の関係職種に対するタスク・シフト/シェアを進めるために例えば特定行為看護師や研究教育支援人材等の確保、大学病院の経営改善、財源確保等で、大学病院改革が同検討会の中心課題。その後、委員による意見交換が行われた。大井川和彦・茨城県知事からは「10万人当たりの医師数は全国で46位。県内に筑波大学があるが、半数以上は東京へ行ってしまう。医学教育が社会にニーズにどう応えていくかしっかり問題提起してほしい」「日本では医薬品が4兆円の輸入超過となっている。医学・医療の研究力の低下がそうした状況を生んだ」「大学病院をもう少し工学部の人が自由に出入りできる場にすることが必要」などさまざまな課題が挙げられた。

委員には私学から一般社団法人日本私立医科大学協会会長の小川彰・岩手医科大学理事長、金井隆典・慶應義塾大学医学部長等が参加している。

同検討会は今年9月頃に中間とりまとめを行い、約1年後の令和6年5月頃に最終とりまとめを策定する予定。次回は6月23日。