第1回次期ICT環境整備方針の在り方WG

7年度からのICT環境整備方針検討

児童生徒1人1台端末普及も活用に地域差

中央教育審議会初等中等教育分科会に新設されたデジタル学習基盤特別委員会の下に5月16日、「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ」(以下、WG)が設置され、その第1回WGが6月8日、対面とオンラインを併用する形で開催された。

初会合の議題は、次期ICT環境整備方針の在り方について。委員は公立小学校・高校の校長や教育委員会職員、大学教授ら10人で、主査は高橋純・東京学芸大学教育学部教授。

学校におけるICT環境の整備については、平成30年度~令和4年度までの5か年計画で整備が進められ(単年度1805億円の地方財政措置)、それにGIGAスクール構想もあって児童生徒1人1台端末の本格的活用が既に始まっているが、同整備計画が2年間延長され、令和7年度から新計画がスタートするのに合わせて令和6年度中に新たなICT環境整備方針の策定について結論を出す必要があり、そのため特別委員会やWGが設けられた。

特別委員会では、学校ICT環境の整備やその活用推進の在り方、デジタル教材の在り方、教育データの利活用や教育情報セキュリティーの推進方策、児童生徒の情報活用能力の育成・把握の在り方、校務DXの推進方策、教育行政調査の電子化・クラウド化の推進方策等を検討。一方、WGでは次期ICT環境整備方針の在り方、具体的には1人1台端末を導入した際の各自治体の調達方法・内容(購入・リース、単独調達・共同調達、保守契約や付属物品)やコストの評価、GIGAスクール構想第2期における環境整備の方向性(1人1台端末について故障リスクも念頭に置いた標準的な整備の在り方、今後の通信負荷増を視野に入れたネットワークの整備の在り方、調達方法の考え方(端末買取とリース、共同調達等)、地方自治体の責任で確実に実施すべき事柄を中心に議論する予定。

初WGでは「GIGAスクール構想の成果と課題」の概要も報告され、各自の学習速度・到達度等に応じた指導の個別化に校長は今後大きな期待を抱いている一方で、働き方改革にICTがまだ十分活用されていないこと、端末の活用度の地域差が大きいこと、生徒同士や教員と生徒とのやり取りがクラウドの活用が低調なことから十分に行われていないこと、今なお端末の持ち帰りは禁止あるいは非常時のみといった自治体が多いことなどが報告された。また「現行ICT環境整備方針下での整備実態」に関して同省は統合型校務支援システムの整備率が81%まで上昇したが、その大半がネットワーク分離型運用でクラウド時代の教育DXに適合しないことなどを説明。こうした報告等に委員からは動画の編集やデータ分析等に必要な高性能パソコンを求める意見や、今後、ライセンスやソフトウエアの費用負担増を懸念する意見、高校生に関しては授業に自身のスマホを使っているため、パソコン等の1人1台端末配備が進んでいないことなどの意見が聞かれた。