金城学院大学の取り組み
博物館明治村とWAFCAでフィールドワーク
社会課題解決に必要な資金調達方法学ぶ
金城学院大学(愛知県名古屋市)は5月20日、人間科学部コミュニティ福祉学科の授業で、社会課題解決の際に必要とされる資金を調達する方法を体系的に学ぶ「ファンドレイジング」の一環として、学生が博物館明治村(愛知県犬山市)と、認定特定非営利活動法人アジア車いす交流センター(WAFCA、愛知県刈谷市)の2チームに分かれ、フィールドワークを実施した。
博物館明治村は明治建築を保存展示する野外博物館で、入鹿池に面した丘陵地に1965年に開村した。移築・復原した建造物の数は現在60を超え、訪れる人々が明治の新しい形と心を発見し、体験することができる学びとレクリエーションの場となっている。
今回のフィールドワークは博物館明治村が持つ魅力・課題を調べ、来場者にインタビューし、来場者の属性を知ることを目的として実施した。
当日は、博物館明治村の湯田晃久所長が設立のきっかけやその後の経過を説明した。また、「新たな価値を受け入れてきた明治の歴史は現代を生きていく上でのヒントの宝庫であり、本物の建造物、生きざまに触れることができるその価値を残し、五感を通して伝えていくことが使命である」と話した。
さらに、これまでのファンドレイジングの取り組みに言及し、学生に「『1回目の寄付につながる接点づくり』を一緒に考えてほしい」と課題を提示した。
その後、学生たちはグループに分かれ、フィールドワークを開始。事前授業で準備した質問内容などに基づき、来場者に来村の動機などを尋ねて歩いた。
フィールドワーク終了後、学生からは「どのような場所や物があれば、もっと楽しめると思うか、また来たいと思えるか、県外からの来場者が増えると思うかを聞いてみたところ、子供と大人、一緒に来た人によって意見が異なっていたので面白かった」「幅広い年齢層の人々に愛されていることが伝わった」「職員の明治村をたくさんの人に知ってほしいという思いが伝わってきた」といった感想が聞かれた。
WAFCAは、車椅子や教育の支援活動を通じて、アジアの障がい児を取り巻く社会的課題に取り組む団体。1999年に自動車部品メーカーの㈱デンソーの創立50周年を記念する社会貢献事業の一環で設立された。
今回のフィールドワークはボランティアと協働での車椅子修理の体験やインタビューを通して、自分たちが修理した車椅子がどのように人や社会の役に立っているのか、「活動に参加したい」などと思える魅力について知ることを目的として実施した。
当日は、WAFCA事務局で広報やファンドレイジングを担当している近藤みなみ氏が「アジアの障がい児の尊厳と機会が損なわれないバリアフリー社会の実現」をビジョンに掲げるWAFCAの活動を解説。活動の3本柱として中国、タイ、インドネシアの障がい児への(1)車椅子の提供(2)奨学金の提供(3)バリアフリー工事を挙げ、抱えている課題にも触れた。学生には「退会が懸念される個人会員に今後も関わってもらうためのアクションや、新規会員を獲得する取り組みなどを一緒に考えてほしい」と課題を提示した。
学生たちはグループに分かれ、事前授業で準備した質問内容などに基づき、ボランティアにWAFCAの魅力などをインタビューした。その後、ボランティアと一緒に車椅子修理を体験した。
フィールドワーク終了後、学生からは「車椅子修理を体験し、一つの部品の不足や、付け間違えが利用者の安全に大きく関わるので、責任感を持って修理に取り組むことが大切だと感じた」といった声が寄せられた。