神田外語大学の取り組み

学生団体が浅野撚糸とのコラボ商品を企画

福島県の復興支援と起業家育成等推進

神田外語大学(千葉県千葉市)でビジネス研究をテーマに結成された学生団体「Liberamente(リベラメンテ)」は、福島県双葉町と撚(ねん)糸(し)工場を運営する浅野撚糸㈱(岐阜県安八郡)が共同開発したタオル「ダキシメテフタバ」に、学生が考案した同大学のオリジナルロゴを刺しゅうしたハンカチとフェースタオル、それぞれ3色をコラボ商品として企画し、2023年7月に完成した。

双葉町の復興支援の一つとして、同社と試行錯誤を重ねながら、SDGsの観点(目標12「つくる責任 つかう責任」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」など)から環境と人に優しいコラボ商品を企画した。

同学生団体は3月に発足。SDGsや社会課題に焦点を当てた商品企画など、学生主体のビジネスの企画や運営を行っている。

同大学では、同大学が運営する宿泊施設兼国際研修センターのブリティッシュヒルズ(福島県天栄村)を拠点に、双葉町のまち歩きや東日本大震災・原子力災害伝承館の視察、住民交流などを実施し、福島の現状と課題を学ぶ探究型学習プログラム「福島フィールドトリップ」を実施しており、同プログラムに関心を持った同学生団体が5月に双葉町を訪問する中で、双葉町に新設された同社の事業所「フタバスーパーゼロミル・エアーかおる双葉丸」を実際に訪れ、福島大学出身で双葉町の震災復興を支える同社の浅野雅己社長の思いに共感し、コラボ商品企画が始動した。

商品デザインなどを行い、複数案を作成した後、デザインだけではなく、ロゴのコンセプトや刺しゅうの再現性などを勘案して比較検討を進めた。7月に完成し、8月に開催された同大学のオープンキャンパスで試験販売した。

タオル「ダキシメテフタバ」は世界初の特殊な糸「スーパーZERO」を使用して作られた魔法のタオル「エアーかおる」シリーズの中の一つ。スーパーZEROは特殊撚糸工法で開発した撚糸で、繊維製品に伸縮性、通気性、耐久性、柔らかさ、吸水性、保温性、速乾性、軽量感覚の機能を付加する。2013年に第5回「ものづくり日本大賞」(内閣総理大臣表彰)で経済産業大臣賞を受賞した。

同商品はハンカチとフェースタオル共に素材の約40%が空気で、コットンの使用量が約60%。ラインアップはフタバマリーン、フタバグリーン、フタバサクラの3色、価格は税込みでハンカチが750円、フェースタオルが1980円となっている。

同学生団体は「福島の復興を世界に発信すべく、ロゴには『福島の復興が輝く未来に羽ばたくように』という思いを象徴した翼と、『神田外語大学で学べる8言語』を象徴した八角形を組み合わせた。この高機能なタオルを使うことで、福島と私たちの思いを受け止めてほしい」とコメントしている。 

今後、神田外語グループ(東京都千代田区)が運営する神田外語マネジメント・サービス(同)から販売し、拡販を通じて福島県の復興支援と学生のインキュベーション(新事業創出や起業家育成)推進につなげていく。10月21日、22日に開催予定の同大学の学園祭「第37回浜風祭」でも、同商品を販売する予定になっている