こども家庭庁日本版DBSの報告書をまとまる
学校、認定こども園等に関しては導入を義務化
こども家庭庁のこども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議(座長=内田貴・早稲田大学特命教授)は9月12日、日本版DBS(こどもと接する職場で勤務するときに性犯罪歴がないことの証明を求める仕組み)についての報告書を公表した。
日本版DBSでは、導入が義務付けられる事業者と、認定制を設けて安全確保措置を講じることが求められる認定事業者に分けるようだ。政府はこの報告書等を基礎に制度設計を早急に進める方針。年内にも法案が国会に提出されるか不確定。小倉將信・少子化担当大臣(当時)は9月12日の記者会見で「制度がいつスタートするかは決まっていない」と答えている。
導入が義務化される事業者としては、こどもの安全確保のための責務等を法律によって直接に義務付けられている事業者、例えば、学校、認定こども園や保育所、児童養護施設、障害児入所施設等の児童福祉施設の設置者、または家庭的保育事業等を行う者を列挙。一方、認定事業者としては、認可外保育施設設置者、放課後児童健全育成事業等の児童福祉法上の事業の届出事業者、また学習塾、予備校、こども向けスイミングクラブ、技芸等を身につけさせる養成所等を挙げている。
確認の対象とする性犯罪歴等の範囲については、裁判所による事実認定を経たものを対象とすること。その際、被害者年齢による限定を設けないこと。ただし前科者の更生の観点から就業制限となる可能性があるため、こどもの安全を確保するための必要性と合理性が認められる年数を検討し、対象とする性犯罪前科後の経過期間に一定の上限を設ける必要がある。自治体等の条例違反に当たる性犯罪については、自治体等よりさまざまで適切に拾い上げて制度の対象とするには技術的課題があり、更なる検討を要するが、盗撮(「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」令和五年法律第六十七号)や痴漢行為(不同意わいせつ罪、刑法第176条)は対応する法律があるため、この仕組みの対象とする。
性犯罪歴の確認の申請者は、本人の同意を得ることを条件に、対象事業者に限る。また確認結果の通知については、確認の対象となる本人に何らかの方法で通知するなどして訂正の機会を与えた上で、結果を知る必要がある事業者に回答を交付することが合理的だとしている。
ただし犯罪歴情報は高度のプライバシー情報に当たるため、対象事業者に、適切な管理体制や管理方法について規律を設けることや、取り扱いガイドラインを設けること。併せて情報漏えいを禁止する規定や漏えいした場合の罰則規定を設けるべきこと。
特定免許状失効者等に関するデータベース(教育職員等の任命・雇用者が活用するものとして設けられた)との関係については、日本版DBSとは制度設計が異なるため統合は困難だが、両者を活用することにより、より効果的に子供に対する性犯罪・性暴力の未然防止になり、また施行予定の児童生徒性暴力等を行ったことにより登録を取り消された保育士に関するデータベースについても同様だ、としている。