中教審・第5回質の高い教師確保特別部会

中高連など28団体が意見を提出

勤務間インターバル制度の実践聴取も

中央教育審議会初等中等教育分科会の「質の高い教師の確保特別部会」(部会長=貞広斎子・千葉大学教育学部教授)は10月20日に対面とWEBのハイブリッド形式で第5回特別部会を開催した。今回の議題は、(1)令和5年5月22日の諮問「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」に対する関係団体からの提出意見、(2)教育職員の健康および福祉を確保する方策等および教師集団の多様性の確保に関する論点。

このうち(1)に関しては、9月29日の第2次締め切りまでに文部科学省に提出した28団体の意見が資料として示されたが、意見の内容についての説明はなかった。

私学関係団体では日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長)が意見を提出、その中で教師不足への対応としては、「特別免許状の授与について、学校法人から教育委員会に対して申請があれば、積極的に認めてほしい」と要望。また教師の処遇改善の在り方として教職調整額に対しては、「私立学校は、国公立学校と並ぶ公教育機関であり、教育の質が低下しないよう、教員の勤務条件を向上させる必要があることから、給特法や労基法も含めた法制度の取り扱いを見直すとともに、私立学校に対する支援の充実を図るべきだ」と指摘。さらに教員業務支援員等の支援スタッフ配置の在り方に対しては、「公私間で教育環境の基盤的条件に差が出ないよう、私立学校に対する補助の充実を図られたい」と要望した。特別免許状に関しては、文科省が要件緩和を進めていることから、ここ数年急速な拡大傾向にあるが(別掲グラフ参照)、都道府県間で格差があり、文科省は授与指針の再改訂が必要ではないか、としている。

(2)に関しては、福岡市教育委員会の福田大二郎教育次長が高島宗一郎市長による宣言を受けて昨年9月に市長事務部局とともに「11時間の勤務間インターバル制度」を導入、令和5年度からは人的措置(学習指導員の新設、教員業務支援員の増員、スクールロイヤーの新設等)と、ハード面の環境整備(高性能な複合機やデジタル採点システムの導入)によって、管理職の意識も変わり教員が帰宅しやすくなったこと、退勤時間を意識して計画的に業務を処理するようになったことなどの成果を披露したが、引き続き長時間勤務の要因分析と対応策の検討・実施が必要、などと語った。

また文科省から教師集団の多様性の確保に関する関連資料の説明があり、特別免許状の授与件数の推移、特別非常勤講師制度の現況、教員勤務実態調査の追加分析の結果、長時間勤務の教師の特徴としては、「年齢が若い」「担任(担当)する学級の児童生徒数が多い」「担当部活動の活動日数が週6日以上である者の割合が高い」という特徴があることが分かった。

さらに(2)に関しては、同省から論点整理案が示され、教師の健康および福祉の確保に関しては、勤務間インターバルのような考え方の有効性をどのように捉えるか、学校現場の実態に即しつつ、その取り組みをさらに促していくことについてどのように考えるか、勤務の柔軟化に関しては、在宅勤務型テレワークの活用についてどのように考えるのか、休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制の実施状況等を踏まえ、今後の方策をどのように考えるか、教師集団の多様性の確保については、それに資する仕組みについてどのように考えるか、などといった内容。

こうした同省からの説明に、委員からは「現場の中にいろいろな(働き方改革の)アイデアがあるのだろうが、どうせできない、してはいけないといった自己規制がかかっているのではないか」「学校での民間人材の活用については一定の制度・枠組みができているが、進んでいない。隘路をしっかりと認識すべきだ」「自宅残業が見えなくなっている」「全学校で産業医の面談ができるといい」などの意見が聞かれた。次回・第6回特別部会は11月中旬ごろに開催の予定。